4月26日

昼休みの後の体育ほど辛いものはない。
暖かい陽気の中、満腹感で眠気もひとしおだった。

犬伊

にーの、体育だよ
着替えるよー

新乃

・・・

窓からの日差しでとろけてしまいそうなにーのは、ぼーっとしている。

赤崎

あー昼に糖分とりすぎたな
これしばらくこのままだぞ

犬伊

え、そうなの?
でももう直ぐ体育始まっちゃうよ

井崎

着替えさせてあげたら?

犬伊

赤崎

あー、そうしてやれよ
どっかにジャージあんべ

赤崎はそういうと、後ろのロッカーににーのの体操着を探しに行った。
見つけた赤崎は体操着の入った袋をぶん投げてくるから、慌てて受け止める。

赤崎

あ、にーのがぼーっとしてるからって変なことすんじゃねーぞ

犬伊

は、はあ?!
そんな言うなら赤崎が・・・おい・・・

赤崎

オレサボるから

赤崎はあくびをしながら教室を出て行ってしまった。
気づけば井崎もいなくなっている・・・。

犬伊

・・・仕方ない

犬伊

にーの、服脱がすよ

新乃

・・・

声をかけてからにーののワイシャツに手をかける。
にーのは相変わらずぼーっとしてて、もしこれがいつものことなら、それはちょっと危ないんじゃないか?
なんて心配してしまう。

犬伊

・・・

犬伊

にーのがぼーっとしてるから仕方なく着替えさせてるだけ、それだけなんだから

無抵抗なにーののワイシャツのボタンを一つ一つ外していくと、なんだか変な気分になった。
俺は俺に必死で言い訳しながら、ボタンを全て外したワイシャツを脱がせる。
インナーを着てないにーのの生肌が、すごく、とても、やばい。

犬伊

あーもうやっぱ無理!!
にーの飴あげるから目を覚まして!
自分で着替えて!

新乃

・・・

新乃

・・・

耐えきれず叫んだ俺の声が届いてくれたらしい。
にーのはいそいそと着替え始めて、ホッとした。
心のどこかで残念だなんて、決してかけらも思ってなどいない。

新乃

・・・

犬伊

飴は・・・?
みたいな顔してるけどダメ
しばらく糖分禁止!
行くよ、にーの

新乃

・・・

そんな顔したって、しばらく甘い物禁止なんだから・・・!

つづく

糖分禁止令を出されたにーの。
にーのにそんなの到底無理そうだが・・・?

井崎

また見てね

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