亀の恩返し

9.小瓶について聞く。
























その小瓶は?


魔女の手の中の小瓶は
まるで
幸運をもたらしてくれるかのように
きらきらと虹色に煌めき、

私は思わず問いかけていた。

これ? これはなんでも1つだけ願いを叶えてくれる薬。
世界でたったひとつの珍しい薬よ

どう? 気になるでしょ?

なんでも……1つだけ


もしそれが本当なら……

私は太郎さんを見上げた。



人間の娘の姿になって
太郎さんと一緒に暮らすことも
できるかもしれない。


太郎さんに
私を好きにさせることも
できるかもしれない。

……

ええ……とっても


もし本当に願いが叶うなら

万年の齢などいらない。






あの、

それは本当に効くのかい?


その時、
遮るように太郎さんが口を挟んだ。

世界にたったひとつってことは、まだ誰も使ってないからここにあるんだろ?

お前さんは使ってみたのかい? 違うだろう?

効くかどうかもわからねぇもんに命はかけられねぇよ

……


魔女は黙り込んだ。

どうしてもその薬を売りてぇんなら、どうだろう? 効果があったら支払うということで

……そんなこと言って持って逃げるつもりなんでしょ

そんときゃ俺が代わりに代金になってやるよ。手でも足でも持っていきな

……

くうううううう……っ。そんなイケメンなこと言うんじゃないよ。

惚れちまうだろ!


魔女は真っ赤になって
小瓶を差し出した。

ほれ、お兄さんに免じて代金は後払いで構わないよ。持っていきな!

え!? でも、

早く持っていきな!!


魔女は私に小瓶を押しつけると
身を翻すように立ち去っていった。





私の手には、魔女の小瓶。






さ、行こうか

は、はい


私は小瓶をしまい込むと竜宮城へ向かった。














A.竜宮城へ

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