路上駐車の解消を目的として設置された駅前の市営駐車場は、未来学会の地下駐車場とそのまま繋がっていた。市営駐車場の地下は関係者用の車両を停める為にある空間だが、奥の物資搬入口から先は地下鉄の線路みたいなトンネルになっていたのだ。
停めてあった適当な車のスマートキーを玲にハッキングしてもらい、彼女の運転で隠し通路の暗がりを静かに進む。この車を後で元の場所に戻す為、未来学会の地下に着いたら、玲とは車と共に別行動となる。
後部座席に龍也と並んで座っていた青葉は、窓の外を意味も無く眺めながら、ついさっき打ち立てた救出作戦の概要を思い出していた。
作戦の立案者である玲と、警察関係者との人脈が深い泰山、そして幹人の三人だけの短いディスカッションと他方への電話による情報入手を経た結果、作戦は次のように展開されることが決まった。