ついてても異世界なら良いんじゃない?
ついてても異世界なら良いんじゃない?
俺の嫁はついている!
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それから、俺は彼女に補助されながら、這々の体で、くらき森からできるだけ近くの町の宿屋に辿り着いた
後で気づいたが、そこはあの森から半日と離れていない場所にあったんだ
つまり俺は、最初にいた町の近くから遠く離れて、違う町のすぐそばで戦っていたことになる
もちろん、この手のゲームでは、町から離れれば離れるほど敵は強くなる
あの森が町に近くということは、、、そう、俺が死にそうになっていたのは、敵が強すぎたのではなく、俺がただ単に極端に弱かったという、ただそれだけのことだったんだ
それからの俺は、この町を拠点に、現実生活で空いた時間のほとんどを、自分のキャラが強くなるためだけに費やすことになった
あそこであんな形で助けてもらったのは、たとえゲームだったとしても、死ぬほど恥ずかしい事だったんだと思い出しながら、、、
その俺の修行中とも言えるプレイ中には、リリーが時々見に来てくれる事もあった
それは、あの時を思い出して、時にはマウスを投げ出したくなるような恥ずかしさを覚えながらの事だったので、大人気なく素っ気無い態度をとった事もあったけれども、俺がレベルを50越える頃には、そんな事は過去に思えるようになってきて、次第に打ち解けていき、たまには下品な冗談まじりの会話もかわせるようになってきた
そして、そんな風に時々俺を見に来てくれる彼女の存在が、どんどん俺の中で大きくなってきて
ある時俺は聞いたんだ
付き合ってる相手は居ないのかと
リリーは、そんな対象はいないとはっきりと言った
それからだ、俺はさらに熱を上げて鍛錬を始め、早くレベルを3桁台に上げる為に努力した
そして、第3次転職も終え、その職業でのレベル上げとスキル強化にも努めた
選んだ職はクルセイダー系統のジョブ、最強の盾となるべくした職業だった
この職を選んだのは、もちろん魔法職である彼女を前線で守る為!早く彼女に認められるには、この方向性が最高にいい選択肢だと思ったのだ
そして、あまり時間をかけない間に効率を重視しつつ鍛錬に励んだ結果、俺はどんどん強くなっていった
そして、レベルかピッタリ100になる時には、俺はこの町の周りで探してきた、とびっきり雰囲気のいい綺麗なキラキラした滝のそばのエリアに彼女を誘い、、、
そしてプライベートチャットを送った
俺の嫁になってくれと
?!
一瞬の無言、、、俺は失敗したかと思ったんだ
うん、いいよ
一瞬、時が止まったのかと感じた
そして、その言葉の意味を俺が理解した時、ものすごい感情が、洪水のように押し寄せてきた
え?え?え?えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!
う、嘘だろう、こんな、俺に都合のいい話なんか想像できるか?
もちろん、期待なしで言ったわけは無い
でも実際、期待どうりの言葉が、目の前の、彼女の名前の後に続くメッセージに表示されると、何だか信じられなくなる気分になるもんだ
とくにこんな自分に都合のいい展開になったら、ありえないと思う気になったって事も分かってくれ
人間て勝手だよな
でも、しかし、いや、本当なのか?
俺は何度も何度も、バカみたいにログを見返して、どんどんバカみたいに顔がにやけてきて、くそう、くそう!!!!!!!!
マジで、本気で、真剣に、壁に頭を何度でも打ち付けたいような、あぁ、嬉しかったんだよ
まさか、現実じゃ無い、こんなゲームの中の告白を、受け入れてもらっただけで、こんなに嬉しくなるなんて想像もしていなかったさ!
この高揚感は俺自身びっくりしている
正直に言うゾーーーーーーー嬉しいーーーーーーーーー!ああ、死ね、死ね俺!くそう、嬉しいぞ!ヤベェ、ニヤニヤが止まらない、キメェ、キメェぞ、俺死ねーーーー!!本当に死ね!!!!!あああああああ~~~~~~~~~嬉しい!!
そんなわけのわからない感情で、自分自身が混乱しそうな時、一気に思考が現実に戻されるような事をリリーは突然言い出したんだ
でも、私、いや、ボク、男の子だよ、本当にイイの?
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え?
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は、初めて出会った時言ったよね、だ、だから、さけられてんだと思ったんだよー
は?
あれから、一心不乱に町から離れて、ボクの事見ず、ずーっと戦ってんだもん
心配で時々見に来てたんだよっ、そしたら、ボクの事見て笑顔で返してくれたり、話したりしてくれるけど、やっぱり心配で心配で心配で
ふぅーーーーっ、よかったー、よかったー、嫌われてなかったんだーーー!
そっかー!ボクの事、好きだったんだね!そりゃこんなに可愛いんだから、言い寄る男も多いもの、好きになっちゃっても仕方ないよね、でも、ボクも一目惚れだったんだよ、よかったね!こんなに可愛いボクを嫁にできるんだよ、おめでとう〜(ハート)
へ?なに?
ンー、こんなに可愛いボクを射止めた記念にチュウしてあげるー、特別にお口にだよー、どーっだ、嬉しいだろー、嬉しすぎて死んじゃわないでね
さーって、こんな可愛いボクを嫁にできるなんて、ぜーーーたい待ちきれないと思うから、すぐに結婚の為に寺院に行こうねぇ
画面いっぱいに、やたらとピンク色のエモーションが広がりまくっている
もちろん、エモーションのアイコンの絵は右の丸っこい人物と思われる簡略化した顔と、同じく左の簡略化した顔が、口付けをしている絵だ
俺はその余りの現実感のなさに、つい思わず
はい
と言ってしまった
先ほどとの落差からの混乱でワケがわからなくなってしまっていたんだと思う、、、
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そうして、あれから、何ヶ月も立ったかに思われた
でも、気づいたら半日も経っていなかったのだ
長い数時間だった、、、
つーまーりーー、死にかけだったのでぇーーー、最初の挨拶のーーー、ボクが男の子だって告白した所のログは見てなかったってぇーーーーんだね
はい、すみません
結局、あの後、呆然とした俺は、彼女、リリーに言われるまま、相手のキャラに対してマウスの右クリックで着いて行くコマンドを入れさせられ、そのまま教会施設の大聖堂へ連れて行かれ、そこで、公式にカップリングメニューで結婚させられてしまっていたらしい
俺が正気に返ったとき、もう全てが終わっていて、すでに取り返しのつかない事になっていた
はぁ、とリリーは一息ついた後、事の次第をやっと理解して、そのあと、思ってもない事を言い出した
えっと、ナオトは今まで話してくれたように、実際に住んでいるところは東京メトロ沿線で間違いないのよね
??、あ、はい?
そう、俺は、この修行中の間、とてつもない下心もアリアリで、俺の中の人の居住している情報までコソコソっと、リリーに話してしまっていたんだっけ、はぁ、今となっては、はぁ
しかし、ここで何故こんな話を突然リリーがしてくるのか?俺がその会話に違和感を感じたそのとき、突然リリーが言ったことは正気が戻ってきたばかりの俺には、理解しろという方が無理な話だったのかもしれない
いい!ボクを惑わせた罰として、今度買い物に一緒に付き合ってもらうわ!リアルでね!
はい
混乱した俺は、またもこう答えてしまっていた
この返事が、俺とリリーの、その後の運命を決めてしまうとは、この時は全く、本当に全く、これっぽっちも予想が出来なかったんだ
その時は、まだ
続く......