夜太

さっぱりしたかい?太郎?

風呂から上がった太郎に夜太が話しかける

太郎

うん、気持ちよかったよお父さん!

しかし、誰しも思うでしょうけど、アンタなんで桃の中になんて入ってたの?

太郎と一緒に風呂から上がった彩が訪ねる

太郎

僕にはわからないよ、、、
なんで、言葉がしゃべれるかとか、自分がどこから来たとか、、、

シュンとしたまま太郎は話す

夜太

普通、桃太郎なら、赤ん坊のまま生まれてきて、おじいさんとおばあさんに育てられて、鬼退治にいくんだったんだよね?

そうね、、、
そして、お宝を鬼からぶんどって幸せに暮らすんでしょ?お供も連れていくのよね?

太郎

そうなんだ?僕は、、、
そういう役目としてこの世界に生まれたのかな?

夜太

でも、それは昔話しの事だから、、、
今のこの世は平和だし、太郎はたまたま僕ら二人の元に生まれて来てくれたんだよ、きっと神様が彩と僕に最高のプレゼントをしてくれたに違いない

夜太は言うなり太郎の頭を撫でる

そうね、私としても家族が増える事には賛成よ
どっかの知識無しの根性無しさんがしっかり自然の流れに沿ってくれてれば太郎にもお兄ちゃんがいたかもね〜?

にこにこ顔の彩も太郎の頭を撫でながら夜太の頬をつねり上げる

夜太

いだだだ!彩ぁぁ!

太郎

ありがとう、お父さん、、、お母さん、、、
本当の子供じゃないのに、、、

急に彩の手が止まる

太郎?アンタは何がなんでも私と夜太の子よ?
二度と本当の子供じゃないなんて言わないでそして、これからも2度とそんな事考えないのよ?いい?わかった?

彩は強い口調と眼差しで太郎に語る

夜太

まぁ、まぁ、彩、、
太郎は気が使えるお利口さんなんだよね?
太郎も気の使い過ぎはダメだよ?
家族は気なんて使うもんじゃない
一緒にいて安心できるのが「家族」なんだから
血の繋がりなんて些細な事なんだから、今から一緒に「家族」になっていこうね?

夜太は太郎の頭を撫でながら優しい声で言った

太郎

うん、、、うん、、、
わかったよ、、、

何故か太郎の目から大粒の涙がこぼれ落ちる

ちょっと!
泣く事ないじゃない!
そんなに嬉しかったの?

彩は太郎を抱きしめながら頭を撫でてやった

太郎

うん、暗くて、寂しかったんだ、、
だからお父さんとお母さんの声が聞こえて安心したんだ、とっても安心したんだ、、、うぅ、、

、、、、

夜太

大変だったね、、、
彩、太郎疲れてるだろうからそのまま寝かしつけてあげてもらえるかな?僕は散歩でもしてくるから

晩御飯までには帰ってくるのよ?

夜太

うん、、
じゃよろしくね

彩に抱きついている太郎の頭を軽く撫で夜太は家を出た

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