火哉は聖剣を頭上に掲げた。
よう、ラフィ! 槍術はいつから習ってんだ?
……
無視されましたー!!
槍以外にも使えるの?
弓もできるよ
はい、オレだけ無視されましたー!!
このお兄ちゃんも剣術が得意なのよっ
聖剣はお父さまの仇……だから喋らない
や、オレは聖剣の使い手なだけで、仇じゃねーだろ!!
ぷいっ
はいはい、じゃ、オレも喋らなーい
もう……喧嘩しないでよね!
よっしゃ! もうすぐ着くぜ! 我が故郷!
なんか……様子がおかしくない?
おーい!! アズール様ーっ!!
あ、ただ今戻りました!
ただいまっすー!
どうも……
はて、アズール様、そちらの二人は?
いやいや、ラフィは初めましてだけど、オレは知ってるでしょ!!
なんじゃ、火哉か。しばらく会ってないと顔も忘れるわ。興味なさ過ぎて
扱いひどいなあ……
でも実は、もう一人いるんだぜ! その名も、聖剣ヴァイス!!
おお! やりおったか!! でかした!!
で、何かあったの?
ええ、大変なのですじゃ!
?
魔王が……現れたのじゃ!!
うそ! みんなは大丈夫なの!?
ええ、先ほど現れたばかりでして、今は城のほうへ避難させているところですじゃ
姫っ!!
ええ! さっそく迎え撃つわよ!!
北の森に出現しておる!!
わかった! ラフィを降ろして向かおう!
この子を預かっといてください!
この子は?
話は後でします! お願い!
承知しましたのじゃ!
魔王……
姫っ! あそこの空だ!!
来るわよ!!
いたっ!! 魔王だっ!
次こそやっつけるわよ!
ゴーレムが来るわ!
それにしても、変わった形のゴーレムだよね……まるでおとぎ話に出てくるロボットみたい
ロボットって……あんた科学なんて迷信、信じてんじゃないでしょうね! とにかく私がゴーレムをやっつけるから、火哉は聖剣で魔王を!!
ああ! 任せて!!
はあああ!!!
火哉は聖剣を頭上に掲げた。
アイスストーム!!
グギギギ……
火哉! いけそう!?
ああ! 力がみなぎってくる……!
アイスニードル!!
グギギギ……
やったわ!!
あとは任せて……
烈光斬!!
っ……!
むうっ……!
魔王はマントの中から何かを取り出す。
すると、空間に黒い渦が出現した。
あれは前と同じ転移魔法!? また逃げる気よ!!
逃がすか!!
わっ……吸い込まれる!!
火哉ーっ!!
うわあああ!!!!
うそ……でしょ……!?
第一章 『聖剣』END……