4月22日

一週間に及ぶ選挙活動も、いよいよ今日で終わりを迎える。
5限目、体育館に全校生徒が集合し、生徒会選挙が執り行われた。

舞台上にはそれぞれの役員候補が並んでいる。

私が生徒会長になった暁には・・・

橘清人の所信表明が始まる。
一週間目の当たりにしてきた熱意が最高潮に達した熱弁をふるっていた。

新乃

・・・

新乃

・・・

新乃

・・・

体育館がシンと静まり返る。
にーののお腹の音がどれくらいの人に聞こえていたのだろう。
少なくとも、俺の耳にはしっかり入っていた。

新乃

・・・

無情にも、にーのの腹の虫は治まってはくれないらしい。
くすくす笑う雑音でかき消されたが、やっぱりにーののお腹は鳴った。

新乃

・・・

新乃

・・・

にーのは自分のお腹を押したりつねったりしている。
恥ずかしそうに、そんな健気な様子がかわいくて仕方なかった。
ずっと見ていたかったけど、俺もそこまで鬼じゃない。

犬伊

にーの

犬伊

口開けて?

新乃

・・・

小声で言うと、にーのは戸惑いつつ口を小さく開いた。
俺はそこに、胸ポケットに入れていた飴を投げ込む。

犬伊

もう少しだから頑張れ

新乃

・・・

飴で口をモゴモゴさせながら頷くにーのはいじらしい。
まあ、結局飴じゃ治らなくてそのあとも何回かお腹を鳴らしていたんだけども(上着を腹に被せて音が目立たないようにしてあげました)。

※生徒会長候補は橘清人一人だったので、無事生徒会長になりました。

つづく

土曜日はサッカー部の練習。
野球部も練習しているらしい・・・。

新乃

・・・

犬伊

また見てね

pagetop