ナタリー・ローレンだって!?




本人が驚く。


知ってるの?




 預言者はナタリーの両肩を掴み、詰め寄った。


知ってるなら教えて!

知ってるも何も……




 ナタリーは迷いながら口を開く。


それはわたしだよ
























 街ではフェミリアの捜索が徐々に小規模になってきていた。

 いつまで経っても見つからない。

 ラック・バードはしびれを切らした。



もうあんな娘などいい!

もう探さないので?

放っておけ! ……ただし、もう二度とこの街に入ることは許さない

……そのように手配いたしましょう





















……会いたかった

 

預言者はナタリーをギュッと抱きしめた。

……離れて。わたしはそんな趣味はないよ

そんな趣味って?

男か女か分からないような人に抱きしめられる趣味

……ひどい

 

 預言者はそっと離れる。

で、わたしを探していたのは何でだい?

会いたかったんだよ。初めて会った時から、ずっと一緒にいようって決めたんだ

初めて会った時?




 ナタリーには心当たりがなかった。

 フェミリア以外の人間に会った記憶なんてほとんどない。



それは、いつだい?

10年くらい前かな

……記憶にないな

うん。でも、僕は会いたかったよ




 預言者はまたナタリーを抱きしめる。
















 咲く花が黒くなる。

 如雨露から黒い水が出る。



きれいなお花を咲かせましょう

 


 フェミリアから黒いオーラが出る。

 帰ってきたアルフは、その光景を見て凍りついた。


フェミリア、これは……

あ、お帰りなさい

…………



 フェミリアは普段と変わらないように見える。

 だけど、どこか黒い。

 纏っている雰囲気が、黒い。


食事にしますね。中に入って、頑張って作ります

…………



 アルフはフェミリアから怖いものを感じていた。

 それは今日突然感じたものだった。















 預言者が弾かれたように顔を上げる。

夢見のペンダントが……

どうしたんだい?

……暴走を始めた
























 出された料理は黒かった。


さぁ、どうぞ、召し上がれ

あ、あぁ……



 フェミリアは笑顔でアルフの様子を見ている。


 ……フェミリアはどうしてしまったんだろう

 ……どうしてこんなに突然、黒くなってしまったんだろう。

さぁ、どうぞ



 不気味なほどの笑顔。

 アルフは覚悟を決めてフォークを手に持つ。















どうしてあんなものを作ったんだ?




 持ち主の願いを叶えるペンダント。

 ただし、代償に不幸も襲う。



これもお告げなんだ。予言に従っているうちに、僕は“チカラ”を手に入れてしまった。それをどこかに閉じ込めてしまわないと、この森が危なかった




 ナタリーには“チカラ”の意味が分かった。

 時々突発的に現れる、万物の集合体。

 放っておけば暴走し、周りのものを破壊する。


僕には強すぎる力を自分の中だけで処理できるほどの能力はないんだ。月の光を借りて、ペンダントを作った。僕に出来る精一杯のことがそれだったんだ

…………

その“チカラ”がどうしてあの子を選んだのかは分からない。でも大した意味はなくて偶然だと思う




 偶然でも運命でもなんでも、フェミリアが持っている夢見のペンダント。

 破壊の力を凝縮された、呪いのペンダント。

 あの子ひとりが手にしている。


 それの向かう先は……





 ……助けなければ。






 ナタリーは思った。

 唯一の家族とも言える存在を、ナタリーはとても大切にしている。



……分かるかい?

え?

夢見のペンダントが……、いや、フェミリアがどこにいるか、分かるかい?

“チカラ”を辿れば。だけど……




 預言者はナタリーの考えが読めなかった。


行こう




 ナタリーは決意して立ち上がる。


そんな呪いのペンダントなんて、存在しちゃいけないんだよ












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