蛇塚弥津子

雌雄を決する時が来た~!


 やっこがやたらとはりきっている。
 はりきっているのは瑞佳も同様のようだが、

天童瑞佳

雌雄を決するって、地球ではヒヨコのオスメス分ける作業のことを言うんだよね。この前初めて知ってびっくりしちゃった


 いいえそんな事実はありません。
 中途半端に地球に詳しいとこういう情報が生まれてしまう。他にも、『笑止高齢化』といった、深刻なのか愉快なのか不明な勘違いを聞いたことがある。
 さて。
 寮の一階ロビーに招かれたぼくの前には、やっこと瑞佳に加えて、輝里菜もいる。どうやら輝里菜も参戦する模様。
 三人はエプロン姿をしているのだが……。宇宙にもエプロンってあるんだね。

蛇塚弥津子

うん。滅多に使わないけどねー


 やっこは何故か嬉しそうにして言う。そして、

蛇塚弥津子

ねえねえ明人


 なんですかい。

蛇塚弥津子

地球人男性は、裸エプロンしてあげると愛を受け入れるんだよね?


 はい?
 いや、えっと、さほど誤解ではない気もしないではないが、そんなことを聞いていったいどうす…………はっ!
 ぼくは、とんでもないことに気が付いたかもしれない。
 やっこはエプロンで隠れている部分以外、肌を露出させている……。
 ちょ、え、マジで!?
 と思ったが、スカートがはみ出て見えた。危ない危ない、裸エプロンなどというプレイを真っ昼間のしかも人が出入りしやすいロビーでしてるんじゃないかと吃驚したじゃないか。さすがのやっこもそこまでは――

蛇塚弥津子

何言ってるの明人?


 いや、何って、奇行に走っていなくて安心したという話を。

蛇塚弥津子

裸エプロンはしてるよ


 は?

蛇塚弥津子

あ、そっか! 裸エプロンってもしかして、下も脱ぐの? 今からでも脱いでいい?


 よくない!
 な、ななな、何考えてるんだ。マジでエプロンの下素肌? う、上も着てください。

蛇塚弥津子

え~


 クネクネ動き出した。
 その動き、今は非常に危険だ!
 あのですね、刺激が強いことは認めるしそういうのを男が求めるのも嘘ではないけれどそんな簡単に肌を晒していいものではないと言いますか恥じらいがなければそれは痴女でしかなく男が求めるものとは若干いや大きく異なっているためにつまり服はちゃんと着ましょう!

蛇塚弥津子

もう、明人がそう言うなら着るけど~


 不満気にくるりと後ろを向いて、足早に着替えに戻った。
 背中がバッチリ見えている……。
 ふう。(←念のため断っておくが抜いた的なため息ではなく安堵したため息なので誤解なきよう。)
 スカートは穿いているからおしり丸見えじゃなかったのがせめてもの救いか。
 しかしさっき、ぼくはちらりと見てしまった。
 くるりと後向きに回転した際、見えてしまった。

 横乳。

 生の横乳。

 びしょうじょの、よ・こ・ち・ち!

天童瑞佳

あーっ! 明人くんエッチなこと考えてる! この変態!


 はっ! 瑞佳鋭い!

天童瑞佳

やっぱり裸エプロンがよかったんだ。わたしもしてくるーっ!


 待て落ち着け! ていうか変態呼ばわりしておきながらどうして乗ってくるんだ!
 頼む、輝里菜も止めてくれ。
 おそらく常識人である輝里菜にすべてを託す。

黒上輝里菜

みずかちゃん、は、裸エプロンはたぶん、おっぱいがおっきくないと魅力ない……

天童瑞佳

…………


 …………。

天童瑞佳

そう……なんだ


 瑞佳は全力で落ち込みながら諦めてくれた。
 これは助かったのか、何なのか。
 ところで輝里菜も胸は全然ない。瑞佳は全体的に小さいが、輝里菜は身長が高い上で胸だけが小さかった。傍目では一切の膨らみを確認できないほどに。
 気が付けば輝里菜のことをじっと見てしまっていた。
 目が合った。笑顔を作ろうとして作りきれない感じで応じてきた。
 ……可愛い。

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