午前の授業が何事もなく終わる。特別付いていけないことはないとはいえ、きついものはあった。ぼくは交換留学生に選ばれたくて必死こいて成績上げたような頭だから、余裕はないという次第。
それに慣れない『環境』は疲れるものだ。
例えば、重力がわずかながら小さい。
地球でも赤道付近に行けば軽くなるが、そんな誤差みたいなものよりももっと軽くなっている。重くなるよりは過ごしやすいかと思っていたのは誤解だった。
重力と便宜上言っているものの、重力そのものではなく、遠心力やらなんやらを応用した疑似重力だ。
ここは宇宙空間の無重力地帯に作られているのであって、異星に築かれた文明ではない。だからここの人たちも『宇宙人』であって『異星人』ではない。
宇宙で生まれ育っている宇宙人からすれば重力軽いことなんて気になるはずもなく、午後の授業が終わると軽やかに天童さんが寄って来た。