クロードさんは、この御伽噺のことを、昔話と言った。

 この御伽噺にはどんな秘密が隠されているのだろうか。

クロード

では、私からこの昔話ができたきっかけをお話させていただきます。

 クロードさんが、そう言って話しはじめた。

クロード

この話ができたのは、まだ、マリーさんが幼少のころです。

マリー

え? お父様からは、この洋館に伝わる古いお話ってきいてたわよ?

 マリーさんは、驚いて言う。

ジャスミン

そうなんですか?

私は、クロードさんに聞いた。

クロード

マリー様には、そう伝えてありまが、実は違うんですよ?

クロードは微笑みながら言う。

ジャスミン

違うんですか?

私が聞くとクロードさんは、今から話しますよ? と言って、話しはじめた。

クロード

マリー様が幼少期のとき、実を言うと、結構なじゃじゃ馬娘でしてね。

 クロードさんもサフィラさんと同じように、思っていることをズバズバ言っちゃうタイプなんだなー。

 私は思わず苦笑いをしてしまう。

マリー

ちょっと、じゃじゃ馬娘ってどういうことよ!

 案の定、マリーさんが怒る。

サフィラ

ウフフ、そうでしたね。懐かしい。

 サフィラさんが言う。

マリー

サフィラまでー?

 いや、マリーさん。ここに来たばかりの私にでもわかります。

 多分、マリーさん今この状況であなたを庇ってくれる人はアーサーさんぐらいしかいませんよ。

 と突っ込みたい所だけど、マリーさんがかわいそうなので、やめておく。

ユース

じゃじゃ馬……。

シルビア

じゃじゃ馬でしたのね。

クレア

マリーさん……。

ジャスミン

あはははは……。

私は苦笑いをするしかなかった。

クロード

で、そのじゃじゃ馬マリーさんは、幼少の頃から、森で遊ぶことが好きでして、よくこの森で、遊んでいたんですよ。

 え? また、じゃじゃ馬って言いましたよね? 

 それに、じゃじゃ馬マリーさんって言いましたよね?

 そんなこと言ったら怒っちゃいますよー?

 私は、思った。

マリー

クロード。それ以上言ったら、怒りますよ?

 ああ、やっぱり、マリーさん怒っちゃいましたよ。

 というか、怒りますよ?って言っている時点でもう怒っちゃってますよ? クロードさん?

 

クロード

マリー様、これは失礼。でも、話しを盛り上げなくてはいけませんので、強行させていただきます。

 えー。クロードさん。

 そこ、強行しちゃうんですか?

ジャスミン

あ、あの……、クロードさん。

マリーさん怒ってますよ?

マリー

……。

 マリーさんは黙ってクロードさんを睨んでいる。

クロード

ああ、ご心配なさらず。あれは照れ隠しです。

 えーー。クロードさん、あれが照れ隠しですか?

 私には凄く怒っているようにしか見えないんですけど……。

 私は、そう思った。

クロード

で、あるとき、森に木の実を拾いに出かけたんですよ。

 えー。話を進めちゃったよ。

 クロードさんの心、ズ太過ぎますよー。

 私はマリーさんのほうを恐る恐る見た。

マリー

……。

ジャスミン

あれ? 怒ってない?

すると、マリーさんはこちらを見て、微笑んだ。

マリー

……。

 あれ? やっぱり怒ってなかったのかな?

 私がそう思ったとき、マリーさんは、もう一度区ロードさんの方を見直した。

マリー

……。

 ああ、やっぱり怒ってますよー。

 クロードさん、これ以上じゃじゃ馬って言わないでくださいよー?

 私はクロードさんに心の中でそう願った。

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