佑都

どうするかな・・・

自室の前の縁側に座り、考える。

もう一度、箱に収められた翁の能面。

その箱は、一見すると繊細な模様が描かれた美しい紅色の箱だ。

邪気だけ祓って、飾っておくのも良し、オーナーに献上するも良し。

でも、割と好みの品だから、オーナーにくれてやるのはもったいない気がする。

で、問題は中身の能面だが・・・

うん、これも含めて飾っておこうか。


・・・いや、どこに飾るんだ。

佑くん、そろそろお昼、

うわっ!

それまだあったの?どうするの、それ?

佑都

ん、湊か

佑都

いや、邪気だけ祓って飾り物にしようかと

・・・佑くん、祓えたっけ?

佑都

・・・無理です、専門外です

・・・だよね?

佑都

・・・うん

誰かに頼むの?

佑都

そのつもり

ふーん・・・

佑都

うん・・・

3秒ほど間が空いた。

・・・

佑都

・・・

佑都

・・・ってわけで頼むわ

何で僕!?

佑都

だってここにいるメンバーで祓うことができるのお前くらいだろ?頼むって

えぇ・・・

佑都

・・・すまん、俺の知る限り、お前しかいない

・・・

佑都

・・・頼む

湊はうんざりしたように箱と翁を見る。

そして俺を見て、また箱を見る。

しばらくそれを繰り返した後、ため息をついた。

・・・今回だけだよ?

佑都

ん、助かる

心の中でガッツポーズをとり勝利の雄たけびをあげながら箱と能面を湊に渡す。

もー・・・すぐ済むから待ってて

佑都

ありがと

まだ終わってないよ?

小さく笑いながら湊は能面を手に取る。

見た感じ、祓うのは能面だけでいいよね?

佑都

ああ、箱はどうもないからな

ん、わかった

能面を左手に持ち、右手をかざす。、

佑都

・・・さすが

邪気の黒い霧のようなものが光の渦へ吸い取られていく。

そして黒が消え、光だけとなった。

佑都

今思うと何でもっと早くに湊に頼まなかったんだろう

心の準備くらいさせてくれてもよかったと思うよ?急に頼んでくるの止めてね

佑都

・・・もう解決したし大目に見てくれてもよくね?

はいはい、わかってるよ。

だから・・・

今日だけだからね!!

佑都

あっハイ

分かったら早く広間行くよ、お昼で呼びに来たんだから

佑都

ん、じゃあ行くか

すっかり邪気を抜かれた能面を箱にしまい、自室に置いて湊と広間へ向かった。

翁の顔が、少し穏やかになっていたことなど、俺たちは気付きもしなかった。

第二の事件【贈り物】2・終

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