4月19日
4月19日
・・・
にーの・・・
授業が終わって放課後、にーのが俺の方を見ている。
というのも、放課後はいつも一緒に帰っていたからだ。
けれど今日は、今日からは一緒に帰れない。
ごめん、にーの
部活だから一緒に帰れないんだ
・・・
え、ちょま、あっさりいっちゃうんだ
にーのは頷くと、スタスタと行ってしまう。
俺が声をかけると、にーのは振り返って止まったけれど、あっさりと行かれて少し寂しさを感じた。
そりゃまあ、俺も「今生の別れ」ごっこをしただけなんだけど。
犬伊、部活入るんだね
何部?
サッカー部
中学からやってたから、高校でもやろうと思って
へー、サッカー部って頭丸めんの?
いや、うちのサッカー部は坊主にする決まりはないよ
坊主の人多いけど
犬伊も坊主にしたら?
新乃も犬伊の坊主頭見たいよな?
・・・
・・・
いやいや、頷かれても坊主にしないから
明日期待してるぜ
マジでそういうのないから
赤崎の無茶振りから逃げるように、俺はその場を後にした。
部活初日は顔合わせということで、小さいコートでのゲームを中心にした内容だった。
じゃあ今日はこれで
しっかりストレッチしとけよー
明日から厳しくしてくからな
年のそう離れていない塩谷コーチは高校のOBで、よく練習を見に来てくれているらしい。
少し年上の男に魅かれる女子が、中庭のベンチ付近に集まって、塩谷コーチを見ていた。
あれ・・・
その中に、ふと見慣れた姿を見つける。
にーの!
待っててくれたの?
・・・
すぐ着替えるから、ちょっと待ってて
・・・
まさか、待っててくれるなんて思わなかったから、これは思わぬサプライズだ。
せっかくだし、甘いものでもあげたいところだ。
飴でも持ってたかな、なんてカバンを漁る。
お待たせにーの
待っててくれたお礼
・・・
・・・
カバンに一個だけ入っていたイチゴ味の飴を渡すと、すぐに口に入れた。
飴一個で喜んでくれるなら、いろいろ買っておいてカバンに仕込んでおこうかな。
つづく
お昼ご飯の話をしよう。
また見てね