私は人を信じない

そう決めたのは、中学二年生の十一月頃であろうか。
この話をする為には私が中学生になった時の頃から話をしなければいけない・・・・。

その頃の私は、とても真面目で運動もでき、友達とも仲良く生活していた、どこにでもいる優等生の女の子だった。元気もよく、自分からよくしゃべりかけ、誰とも仲良かった。

中学生に入ってから、私には親友ができた。

彼女の名前は栗山茉奈

栗山 茉奈

・・・

顔も思い出したくない・・・

一年の時に同じクラスになり、部活も同じ、しかも話が合い、私たちはすぐ意気投合した。
時にはライバル、時にはチームメイト。

いつも一緒ということはなかったけれど、当時の私は親友と呼べる人ができたのは初めてで、彼女といるだけでとても楽しかった。

中学に入ってからも、私の優等生ぶりは変わらなかった。むしろ前より、目立つ事が多くなってきていた。テストはいつも上位、部活でやっていたバスケも一年からレギュラーを取る、また、自分で言うのも変だけれども、異性からよくもてていた。私はいいことで目立つのはいいことだと思っていた。親からも褒められるし、友達からもいい印象を持ってもらえる、そんな自分が好きだった。

そんな生活を過ごして、私は二年生になる。

茉奈はまた私と同じクラスで、私たちの関係がさらに深まっていった。
別に彼女に対して恋愛感情を抱いていたわけではない。
しかし、彼女は特別な存在であった。
次第に、彼女は私にとっていなくてはならない存在となってしまう。

秋、中学二年生の秋

私が一番思い出したくない過去

私が一番忘れたい過去

私が一番忘れられない過去・・・

私はいつも通り、バスケの練習を終えた後、自主練をしていた。

栗山 茉奈

めぐみ~
まだ練習すんの~

羽柴 恵

もちろん!
後二週間で大会だし、私エースだからさ!

栗山 茉奈

しゃあないな~
私も練習付き合うか!

羽柴 恵

さすがキャプテン!!

栗山 茉奈

私も負けてらんないからさ

私たちはその後一時間程練習をした。

栗山 茉奈

疲れた~
そろそろ時間も時間だし帰んない?

羽柴 恵

そうだね、そろそろ終わりにしよっか!

栗山 茉奈

私、トイレ行ってくるから先に部室で着替えてて!

そう言って彼女はダッシュしてトイレの方向に向かった。

私は部室へ向かうため、外に出た。

羽柴 恵

さむっ!!

冷たい夜の風が吹いていて、季節の移り変わりを感じていた時、後ろから男性の声が聞こえた。

川島先輩

よっ、羽柴!!!

羽柴 恵

お疲れ様です!
川島先輩!!!

川島先輩は男子バスケの元部長で一つ上の先輩。
女子バスケの皆からはすごく人気者。
何でもできちゃうってところがやっぱり人気なのかな・・・

羽柴 恵

今ちょうど、自主練終わったところです!
先輩は受験勉強ですか?

川島先輩

まあな・・・

羽柴 恵

たしか先輩って〇〇高校受験するんですよね!
あそこ頭いいしバスケも強いって聞いてますし、実は私も受験しよっかな~なんて考えてるんですけど・・・

羽柴 恵

せ、先輩ッ・・・!?

これってもしかして、かべ・・・

川島先輩

羽柴、お前のことが好きだ!
俺と付き合ってくれ!

羽柴 恵

ち、近い・・・

たしかに先輩のことは好きだけど・・・

羽柴 恵

・・・

羽柴 恵

あ、あの・・・

私が話そうとした瞬間、私の唇は奪われた・・・

私の頭は真っ白になっていた

わからなっかった、何が起きているのか。
だから私はそのばから逃げた・・・

羽柴 恵

す、すいませんッ!

とりあえず逃げた、走って逃げた、部室に行くことなんて忘れて逃げた、その場所から遠い所に行きたっかったから・・・

私はその後、普段通り茉奈と一緒に帰った。
今日あったことなんて誰にも言えない、例えそれが親友であったとしても・・・・

次の日から起こった

一番最初に起こった場所は私の下駄箱の中。

私の下駄箱の中の上半分のスペースにいつもおいてあるはずの上履きがそこにはなかった。

栗山 茉奈

めぐみ~おはよ~
どうしたのそんなことで突っ立て?

羽柴 恵

あ、おはよ~
ちょっと上履き忘れちゃったみたい!

栗山 茉奈

珍しいね、めぐみが忘れ物なんて

羽柴 恵

誰かがきっと間違えて履いていっちゃたんだよきっと。

でもその次の日もそのまた次の日も上履きを見つけることはできなっかった。

上履きがなくなってから4日後、私は新しい上履きを買い、普段通り私はクラスの教室のドアを勢いよく開けた。

羽柴 恵

おはよ~

あ・・・

おっ、おい・・・

普段なら返してくれる挨拶をクラスの皆はしてくれなかった・・・
凄い嫌な気分だった。
ただ返事が返ってこなかっただけならまだしも、教室に私が入った瞬間、空気が凍り付いたように静けさと寒気と視線を感じたから。

羽柴 恵

あはははは~

私はそんな空気が嫌だったので笑顔を作りながら自分の席へ戻った。

羽柴 恵

!!!???

その時の光景は今でも鮮明に思い出す。

私の机の上にはマジックペンで落書きされていた。

バカ

死ね

ぶりっこ

きもい

クソ

キチガイ

おそらくそれ以外の言葉も書かれていたであろうが、私は見るのをやめた。

そっか、いじめられてるんだ私・・・

羽柴 恵

だよね~
そっか皆私のことそう思ってるのか~
あはははは~

そう言って私は持っていたハンカチで机を拭いていた。

なんで笑ってるの?
きっしょ・・・

あいつドエムなんじゃね?

なんで笑ってるんだろう私?
自分でもよくわからないや・・・

でもね、泣いているんだよ、私。
顔では笑顔で笑っているけど、心の中では泣いてるんだよ?

私、一人で机拭いてるのに誰も手伝ってくれないんだね・・・

そっか皆共犯なんだ。
私を助けたとしても、次に自分がやられるかも知れない、きっとそう思ってるんだな~

皆自分が大事なんだね、今まで仮面かぶって友達ごっこしてたんでしょ?
私だけか、クラスの皆と友達だと思ってたの。

なんか自分がバカらしいよ、こんなやつらのこと私は友達だと思っていたなんて・・・

バカらしくて涙を流して小さく笑った。

栗山 茉奈

何これ・・・?

茉奈が教室に入ってきて私を見た瞬間、私の机の方に走ってきた。

栗山 茉奈

何があったの、茉奈?
とりあえず、私も消すの手伝うね。

羽柴 恵

ごめん・・・

栗山 茉奈

なんであんたが謝んのよ!
他の皆も何で突っ立てるだけなの!?

茉奈は違かった、私の味方だった。
その時はただそのことが嬉しかった。

その後も私に対するいじめはなくならなかった。
先生にも相談してけど、先生はいつもその場しのぎだけ、簡単にかたずけて大きな問題にだけはさせないようとだけはして、根本なものは何も解決しなかった。
唯一救いだったのは茉奈だけが心から相談にのってくれたこと。

さらに不運も続く・・・

羽柴 恵

イタッッ!!!

後輩

すいません、先輩!!!

栗山 茉奈

大丈夫、茉奈?

羽柴 恵

ちょっと足を痛めたみたい・・・

羽柴 恵

骨折!?
三日後に試合あるんです!

医師

その足で試合なんてだめだ・・・
練習に出ることも医師として許可できないよ

羽柴 恵

そんな・・・

羽柴 恵

ごめん、私エースなのに・・・

栗山 茉奈

一番つらいのはめぐみでしょ?
めぐみの分までがんばるから!
あんたも全力で応援してよね!

大会当日、私たちのチームは一回戦で負けた・・・

神様がいるのなら聞きたい、なぜあなたは私の学校生活をめちゃくちゃにするの?

羽柴 恵

ごめん、気分悪いから保健室行ってくる・・・

栗山 茉奈

大丈夫?
私も行こっか?

羽柴 恵

一人で大丈夫・・・

私は最近学校に来ると気持ち悪くなってよく保健室に行った。

羽柴 恵

やばい・・・

私はトイレへ場所変更し、気分が治るまで嘔吐を繰り返した。

羽柴 恵

やっとおさまってきた・・・

栗山 茉奈

でさ~めぐみがさ~

茉奈の声だ!
私の話してる・・・

栗山 茉奈

大会が終わった後もしつこく謝ってくんのよ~
「ごめん、私のせいで・・・」って、まじウザくてさ~

でも、そのケガさせたのも茉奈なんでしょ?

栗山 茉奈

もちろん、直接私がやったわけじゃないんだけどね。

クラスの件といい、さすが腹黒女ね~

栗山 茉奈

めぐみが近くで不幸になっていくの見ると、ホント笑えてさ~、いつもこらえるの大変なんだよね~

よ、演技派!

羽柴 恵

・・・

栗山 茉奈

めぐみ・・・

まじ・・・

私は走った、遠くに・・・

死にたくなったから屋上に来た・・・のかもしれない。

こんなことくらいで?
そう、こんなことくらいで私は死にたいと思ったの。

だってわたしの未来には未来がないから

なんでなの?
私は皆に好まれたかった唯それだけなのに。
私が何をしたの?

自問自答しても答えは見つけられなかった。

クラスメートに裏切られ、先生にも裏切られ、部員の後輩にも裏切られ、親友にも裏切られた。

親に何も言ってない・・・
何も言えなかった、パパとママにいじめられてるなんて言えなかった・・・

羽柴 恵

ごめん、パパ、ママ・・・

そして私は自分を殺した。

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