■日本は侵略戦争をしたのか

　政治や歴史に関する話だと思われそうですが、違います。これまで同様、言葉に関する話です。
　この項では、『人間特に日本人が、思考や意思伝達において、言葉という道具をいかに扱えていないか』を語ります。

　日本は第二次大戦期、侵略をしたか。
　答えはたった一つです。
　侵略しました。
　なぜなら日本は、大東亜共栄圏という、日本を盟主としたアジアの新秩序を目指したからです。

　この話をすると、すぐに反論が山のように来ます。しかし反論など存在できません。

・『侵略の定義というのははっきりしておらず……』
　ここまでストライクど真ん中なものを侵略としないなら、この世に侵略という概念が存在しなくなります。

・『日本はいじめられていて致し方なく東南アジアの資源を求めた』
　それが正しいなら、致し方なく、侵略したのですね。

・『侵略ではなく解放であり喜ばれた、善政もした』
　それが正しいなら、侵略によって解放をして、喜ばれ、善政もしたのですね。

・『大東亜共栄圏など、本心でもない、苦し紛れに用意した大義だ』
　それが正しいなら、本心ではない大義で侵略をしたのですね。

　侵略を否定したがる人の思考経緯は、以下の通りです。
　侵略は悪である。→日本は悪ではないと思う。また、中韓がデタラメで非難してくるのは納得できないし、いつまでも非難されるのは嫌だ。→だから日本は侵略をしていない。
　論理も何もあったものではありません。誤りの根本的原因は、『侵略は悪である』という主観が、事実関係に影響するという錯覚です。
　結論を繰り返しますが、日本は侵略をしました。悪かどうかなど、侵略の事実を認めた上で、議論されるものです。