配置は前回と同じ左右に1体ずつ、正面に1体。
左右のキノコは前回同様、緑色の傘をしているが、正面のキノコは赤色の傘を持ち、盾らしきものを構えていた。
こいつら、噂のレアモンスターか。
見るのは初めてだな。
かなり手強いらしいが。
1度戦ったことがあるんですけど、実際強かったですよ。
……なぁ、なんか変な奴居ないか?
配置は前回と同じ左右に1体ずつ、正面に1体。
左右のキノコは前回同様、緑色の傘をしているが、正面のキノコは赤色の傘を持ち、盾らしきものを構えていた。
前回はあんなの居なかったよな。
レアのレアとか、そういうのか?
どうなんでしょうか。
僕達のレベルは既に適正外ですから、高レベルのプレイヤー向けに、敵の編成が変わっているだけかもしれません。
それより問題は、今の状態で勝てるのか、ということですよ。
さっきのボス戦で、全員消耗してしまっています。
レアモンスターのレベルは、こちらのレベルを元に決定されますから、さっきのボスよりも強力です。
その上、既に体力は半分を切っている。
最悪のタイミングで出てきやがったな。
もう街は目の前だってのに。
どうしますか?
以前も言いましたが、レアモンスターからの逃走成功確率は100%なので、このまま無視してもいいですよ。
私から特に希望はない。
君達に任せよう。
クエストの対象じゃないし、俺達は既にカンストしてるからメリットも多くない。
無視した方が無難ではあるな。
とはいえ、最後に逃げてクエストクリアってのも情けない話だ。
ですね。
前回の借りもあるしな。
ここで負ければ、もっと情けないがな。
前回同様、レグルスとヤクルトが左右の緑傘へ向き直る。その間、ジークは前方の赤傘を削りにかかった。
む。
炎が直撃する直前、赤傘は手に持った盾を掲げた。
ジークの攻撃は、簡単に防がれてしまう。
アイツ、待機中はガード状態になるようだな。
かなりダメージが軽減されますね。正面から倒すのは無理そうです。
……前のヤツは一先ず置いておく。先に左右を手伝おう。
既に戦った相手ということで、2人は上手く死角に入るよう立ち回ることが出来た。ジークの加勢もあり、ダメージはほとんど受けていない。
左右のヤツは後ろへの攻撃を持っていないんだよな。
背後に回れればこっちのもんだ。
ただ、問題はアイツですね。
中央のキノコだけは、背後に回っても攻撃を受けます。残り体力は僕もレグルスさんも、良くて1, 2発分ってところですよ。
私の耐久力では、あと1発も耐えられないだろうな。
俺とヤクルトは、背後から攻撃すれば反撃を受ける。ジークに遠くから狙ってもらえば楽だと思ったんだが……あの位置取りじゃ無理だな。
赤傘は、背後に障害物が来るように移動している。遠距離からの攻撃は障害物に遮られてしまう。
背後から攻撃するためには、赤傘と障害物の隙間に潜りこむしか無いが、あの位置では密着するしか無い。つまり、赤傘の攻撃を受けてしまう。
こっちに誘導できれば……。
……ダメです。コイツもヘイト上昇スキルを無効化してくるようですね。
となれば、横はどうだ?
試してみよう。
ジークが位置を取り、キノコの側面から狙う。しかし、前方からの攻撃同様、盾で防がれてしまう。
横も守りの範囲か。
やっぱり後ろから狙うしか無いな。
ジークはそのまま、大岩のそばに移動してくれ。
俺がソイツを引きずり出す。
わかった。
ジークは大岩の斜め後方へ、レグルスはキノコの真横へ、それぞれ位置についた。
レグルスがキノコへ盾を打ち付け、大きく吹き飛ばす。背後の守りを失ったところに、ジークの魔法が浴びせられる。
しかし、キノコはまだ余裕があるらしい。すぐに立ち直り、再び背後を固められてしまった。
いい感じです。
流石に後ろは防げないようですね。
だが、1発貰っちまった。
前回同様、素早さは相手の方が高いらしいな。
本当に厄介な相手ですね。
見ましたか? ヤツは特殊な剣撃が使えるようです。攻撃しつつガードしてますよ。
ずるいヤツだな。俺達はどちらか一方しか行動できないってのに。
さて、俺はもう後が無い。
次はヤクルト頼む。
わかりました。任せて下さい。
レグルスの代わりにヤクルトが、先程と同じ位置につく。
やはり行動はキノコの方が早く、ヤクルトも攻撃を受ける。とうとう全員追い込まれてしまった。
……よし、耐えました。
今度はこっちの番ですよ。
ヤクルトが大剣でキノコを吹き飛ばし、ジークが背後を狙う。
2度目の攻撃も、狙い通り決まった。
まずいな。
僅かだが、赤傘の体力が残ってしまった。
再び背後を固められ、3人の攻撃が封じられる。
これは……困りましたね。
もう攻撃手段がありませんよ。
このパーティに、ヤツより早く行動できる者はいない。遠距離攻撃も不可……詰みか?
どうしましょう。逃げますか?
ここまで来て逃げたくねぇなぁ。
何か方法は無いのか……。
正面、左右の攻撃は無効化される。背後からなら攻撃が可能だが、こちらが攻撃する前に、赤傘の攻撃で倒されてしまうだろう。
赤傘の体力も残り僅かだ。先に行動出来ることを祈って、背後から攻撃してみるべきだろうか?
脳裏に、初めて敗北した時の思い出が蘇る。
……いや、待てよ。
ジーク、戻ってきてくれ。
? わかった。
赤傘の対面に立つ形で、3人が揃う。
俺がヤツの隙を作る。
合図したら、ここから攻撃してくれ。
正面からか?
ああ。ここでいい。
わかった。やってみよう。
よし、任せたぞ。
そう言って、レグルスは赤傘の背後に移動した。
そのまま背後から攻撃……ではなく、盾を構え、ガードの体勢を取る。
何をしているんですか?
背後に敵が居るのに、黙って見過ごすと思うか?
恐らくコイツは、あの時と同じ攻撃を選択する。
……あ。
回転しながらガードが出来るか。
試してみよう。
来るぞ!
そこか!
ジークが放つ火球は、回転する赤傘の背中を直撃した。
それは、トドメには十分過ぎる一撃だった。赤傘は倒れ、ついに沈黙した。
やっとたどり着きましたね。
ああ……。
本当はもっと楽なはずだったんだが、とんだ邪魔が入ったな。
しかし、なんとか退けることができたな。
見事だったぞ。
そうだな。リベンジも果たせたし、これでもう心残りはないな。
ええ? どういうことですか?
いや、実はな、そろそろ仕事が忙しくなりそうなんだよ。本格的に開発が始まるらしい。
別にゲームを辞めるわけじゃないが、今まで通りにはできなくなるな。
そうか……、寂しくなるな。
残念ですが、元々そのためにゲーム始めたんですもんね。
レグルスさんが帰ってくるの、待ってますよ。
おう、また一緒にやろうな。
まぁ、時々は様子見に来るよ。
それじゃ、またな。