レグルス

……おかしいな。

ヤクルト

おかしいですね。

 お互いのレベル差により、ボスとの戦闘にもかかわらず、戦いの流れは一方的なものとなっていた。

 にも関わらず、ボスが倒れる気配はない。3人の猛攻を受けてなお平然としている。ほとんどダメージを受けていないようだ。

ジーク

まるで効いていないようだな。

ヤクルト

ジークさんの攻撃とかすごく効きそうなんですけど、全然元気ですね。

レグルス

お前ら、ちゃんと武器装備してるか?
武器壊れてたりとかはないか?

ジーク

見て分かるだろ。

ヤクルト

武器破損のシステムなんて、このゲームにはありません。

ジーク

相手の攻撃は大したことないが、このままでは削りきられるのも時間の問題だろうな。

レグルス

……さて、どうする。

ヤクルト

本体へのダメージはほとんど無効化されてしまうようです。

ヤクルト

触手を集中的に狙ってみますか?
触手への攻撃は普通に通るようですし、案外そちらが弱点なのかもしれません。

レグルス

その可能性もあるか。
よし、触手を狙うぞ。

レグルス

お、触手が切れたな。
行けそうだぞ。

ジーク

やったな。
続けていこう。

 3人の攻撃が、次々と触手を切り落としていく。

 その数は瞬く間に減って行き、とうとう1本を残すのみとなった。

ヤクルト

これで終わりです!

レグルス

……何も起きないな。

 攻撃手段を失った植物は棒立ち状態となったが、これで勝利というわけではないらしい。

 暫く様子を見ていたが、痺れを切らしたレグルスが本体へ攻撃を試みる。

レグルス

いい加減倒れろよ!

 攻撃は確実に、植物へ入っている。しかし、相変わらずダメージは無いようだ。

ジーク

……ん?

ヤクルト

うわ!?

 切り落としたはずの触手が再生し、再び3人へ襲いかかる。
 油断して近づいていた3人は、その攻撃をモロに受けてしまった。

レグルス

おいおい。復活すんのかよ。

ヤクルト

いくらレベル的に優位だと言っても、今の一撃はまずいですね。

ヤクルト

もう皆ボロボロですし、一度撤退しますか?

レグルス

……そうするか。
ヒントだけでも聞いてこよう。

ジーク

……いや、ちょっと待ってくれ。

レグルス

どうした?
倒す方法でも思いついたのか?

ジーク

ああ、倒す方法を見つけた。

ジーク

かもしれない。

ジーク

試してみたいんだが、いいか?

ヤクルト

勿論ですよ。僕達はどうしたらいいですか?

ジーク

まずは、先程と同じように触手を片付けて欲しい。

レグルス

触手だな。わかった。

 3人の攻撃により、再び植物は触手を失った。

レグルス

よし。触手は片付いたな。

ジーク

次は、2人で本体を左右から攻撃してくれ。

ヤクルト

本体を?
本体には散々攻撃してきましたが……ともかくやってみましょうか。

 レグルスとヤクルトが、植物を挟み込むようにして立つ。

レグルス

よし。行くぞ!

ヤクルト

……ダメです。やっぱりダメージは無いみたいですよ。

ジーク

いや、これでいい。

ジーク

最初に触手を全て切り落とした時、レグルスの攻撃で僅かに、植物の口が開くのを見た。
周りの触手を切り落としたことで、支えが緩くなったんだろう。

ジーク

2人の挟撃によって、その口は十分に開いた。つまり、弱点は――

 ジークの炎が植物の口を直撃する。

ヤクルト

流石です!
よく気づけましたね!

ジーク

大したことはない。
レグルスがあの時、本体へ攻撃したおかげだ

レグルス

何にせよ、これでクエストクリアだな。
街はもう目の前だ、行こう。

 ボスが塞いでいる道を抜ければ、後は街まで一直線だ。何も障害は無い……はずだった。

 街に入る直前、3人はモンスターと遭遇し、戦闘状態に移行する。

ヤクルト

あ、こいつは……。

pagetop