神裂 希

はあー。

迷っちゃったなー。

今、私どこにいるんだろう。

 私は郵送で送られてきた地図を片手に、広大な迷路とでも言えるこの学園の廊下をさっきからグルグルと彷徨っている。

神裂 希

 この地図合ってるのかなー。

 この地図の通りに来たつもりなのに、地図に描いてある場所になかなかたどり着けない。

 私は途方に暮れていると、廊下を歩く二人の男子生徒を見つけた。あの人たちに聞けば、場所がわかるかも。

神裂 希

 あ、あのっ!

 私は二人の男子生徒の元に駆け寄って、地図を見せた。

神裂 希

 ここに行きたいんですけど……。

 私は手に持っている学園内の地図の「校長室」と書かれているところを指差した。

神裂 優斗

 校長室?

 男子生徒は少し驚いた顔をして言った。

榊原 信也

 あ、ああ。

 学園長のところだね。それだったら……

 金髪の男子生徒が、私に親切に教えてくれた。

 さらに、その二人は学園長室の前まで道案内をしてくれた。

 人は見かけによらないとは、こういう事なのだと、そのとき私は思った。

神裂 希

 あの、ありがとうございました。

 私は二人にお礼を言って、ノックをして学園長室に入った。

 学園長室には大きな壺に入った花束が置かれた台が窓際にあった。

 その並びにちょうど窓に背を向ける形で、「学園長」と書いてあるプレートの乗った大きなウッド調の机と社長椅子が配置してあった。

 部屋の中央にはガラスのテーブルがあり、それを囲うように、黒いソファーが置いてある。

 どうやら、学園長は今不在の様子だった。

 私は黒いソファーに座り、学園長を待つことにした。

神裂 希

 さっきの人達、優しかったな……。

 はじめから結末が分かっていながら、私はこれからの学園生活に微かな希望を胸に抱いた。

神裂 希

 どうせ友達になんてなれないだろうけど。

 私はそう言いつつ、改めて黒いソファーに座り直し、学園長先生が来るのを待った。

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