4月13日

今日から図書室が解放されるので、図書室で勉強会をすることにした。
本当は昨日みたいに俺の部屋で二人っきりでもよかったんだけど、まあ、それはまた今度でいいだろう。

犬伊

他に人はいないみたいだな
とりあえずそこに座ろう

新乃

・・・

今日のにーのも乗り気ではない様子で、俺が教室から引っ張ってこなければふらふらと帰ってしまいそうだった。
にーのを図書室の真ん中にある読書スペースの椅子に座らせて、俺もその隣に腰掛ける。

犬伊

今日は数学な
終わったらご褒美、用意したから

新乃

・・・

俺は菓子を入れていた胸の左ポケットをポンポンと叩く。
するとにーのは鼻を近づけ、クンクンと匂いを嗅ぐ。
何が入ってるのかわかったらしい、にーのは犬だったのか・・・?

お菓子のためならと、にーのは意外にも真面目に数学の問題集を進めていく。
時折分からないところで詰まっては、前のページに戻ったり適当に書いてみたりして、何とか解いているようだった。

新乃

・・・

犬伊

何だ、やればできる子じゃん

犬伊

楽だけど、逆に俺はやることがないな・・・

真剣な面持ちのにーのを眺めるのも悪くはない。
けれど、当初予定していた、にーのの分からないところを教えてあげる頼もしい俺、作戦はどうやら出来そうにない。

新乃

・・・

犬伊

難しい顔してる

新乃

・・・

犬伊

さすがに疲れてきてるかな

新乃

・・・

犬伊

なんかにーのって・・・甘い匂いがする

にーのの肩口から問題集を覗き見た時、不意にふわっとどこからか甘い匂いが漂う。
甘いものを食べているからだろうか、にーの自身も甘く匂う、そんな気がした。

犬伊

甘そう・・・

新乃

・・・

犬伊

?!

犬伊

わ、悪い、なんでもない

新乃

・・・

気がついたら、俺はにーののうなじに鼻でも付きそなほど顔を近づけていた。
慌てて距離をとったけれど、まだ甘い匂いがしているようだった。

なぜだかドキドキして体温が上がる、
胸ポケットに入れた、細いチョコを幾重にも重ねたチョコ菓子が溶けてしまいそう、なんて思ってしまったり。

つづく

課題提出は金曜日。
勉強会は後一回。
そういえば部活はどうするんだろう?

犬伊

また見てね

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