手に持った剣が風を切る
夕飯を済ませてからしばらくやっていなかった素振りをやっていた
夜の風が心地良い
セイ!ッフ!
手に持った剣が風を切る
夕飯を済ませてからしばらくやっていなかった素振りをやっていた
夜の風が心地良い
精がでますね
不意に声が掛かる
珍しい・・・
どうしたんですか?
こんな時間に、珍しい
本当にどうしたんだろうか?
セリアさんは小さい声で返答する
・・・ちょっと散歩に
付き合いましょうか?
・・・お願いします
僕らは宿の近くを歩く
といっても本当に宿がきっちり視認できる程度の距離だ
機嫌が悪い・・・というよりは落ち込んでいるようだ
・・・どうしたんですか?
なんていうか・・・わたし、このグループで役に立ててるのかなって考えちゃって
ポツリポツリとセリアさんは語りだす
今日なんて私オーガを目にした瞬間に全部あきらめちゃって
終いには泣き出す始末だし・・・
困難じゃ皆の足を引っ張っちゃってるだけだし抜けた方が良いんじゃないかって
・・・
クロウさんは確かに魔法は使えないかもしれないけど・・・それを上回る量の努力で強さを持っている
リーダさんは皆を支えるために必死にやっている
ミラ様は持ち前の胆力と性格で場を和ませてくれる
私は・・・
自分は役に立てているのか・・・
僕も良く考えたことがある
僕に関しては存在価値があるのか
ラックさんの役に立てていたのか
今のグループにいて良いのか
よく考えていた
周りからすれば僕みたいな奴がいるだけでマイナスになる
セリアさんの気持ちは少なからず僕にも分かる気がした
私は、このグループにいても良いんでしょうか?
セリアさん・・・
彼女は満面の笑顔の下にこんなことを考えていたのか・・・
気がつくことができなかったことに対して申し訳ない気持ちがわいてくる
でも彼女には
セリアさんには持ち前の明るさがあるじゃないですか
あれは僕にも、ほかの皆にも真似できません
それに、あなたの魔法は皆頼りにしていますよ
クロウさんは、強いからそういうことが言えるんです
私は・・・弱いから・・・
僕は強くないですよ
僕はまわりが居たからでこそ今のようになれた
僕を育ててくれた人
母さんに妹
それに・・・
・・・それに?
なんだか気恥ずかしいが言い放つ
それにはリーダさんやミラさん
あなたも入っているんですよ?
私が・・・ですか?
ええ、あなたはこのグループには欠かせないんです
僕を含めて皆があなたを必要としていますよ
クロウさん・・・
うん、なんだかこんなことを行っておいて変かもしれないけど恥ずかしい
だから、そんなことは言わないでください
・・・クロウさんは私が必要ですか?
?
ええ、そうですね
それを聞いたセリアさんは小さく笑みを浮かべた
・・・そうですか
なら、仕方ないですね
・・・ありがとうございます
え、ええ
フフッ
もう夜遅いですよ
宿で休んだらどうですか?
そういって彼女は宿へ走り出す
・・・どうやら悩みは解決したみたいだ
僕も宿で休もう
僕が強い・・・か
歩きながらセリアさんの言葉を復唱する
そんなことは無い
皆が居たから今の僕が居る
ラックさん、母さん、エリア、リーダさん、ミラさん、セリアさん、ほかにもいっぱい
思ったよりもいろいろな人に支えられて生きているんだなと改めて思った