月日が経つのは早いもので、季節はもう秋だ。
校門を出て真っ直ぐに伸びた通学路は、左右に並ぶ街路樹が払い落とした無数の木の葉でオレンジ色に染まっている。
そんな道を一人で歩いていると寂しさが倍増し、人恋しくなる。
さらに追い討ちをかけるのが学園祭だ。
僕は学園祭が大嫌いだ。
転校前、学園祭でもほとんどの時間を一人で過ごした。
皆がそれぞれの仲間内で楽しそうに笑い合っていればいるほど、僕は惨めな思いをした。
この学校ではどうだろう。
楽しめるものならそうしたいが、期待は一切していなかった。
僕のクラスはパンケーキの模擬店をやることになっていた。
学園祭の準備を進めるクラスメイトたちの側で空気のように存在感を消し、サボリと思われない程度に手伝いをして、バイトを理由にその場を逃げ出した。
嫌だ嫌だと思いながら日々を送っていると、早くも学園祭がやってきた。
その日はいつもより遅めに家を出た。
玄関先で大きくため息をつき、重い足を無理やり前へ動かす。
学校へ着くと、既に沢山の生徒が騒がしく右往左往していた。
皆楽しそうで何よりだ。
僕のクラスの模擬店は、前半、中半、後半でそれぞれ担当が別れ、自分の担当以外の時間帯は自由時間となっていた。
僕は前半の担当だ。
模擬店に裏から入り、立ち尽くしたまま様子を見ているとクラスの女子にボウルを手渡された。
中には卵が数個入っている。