メイドの少女が持ってきた料理は、おいしそうなハンバーグステーキだった。
メイドの少女が持ってきた料理は、おいしそうなハンバーグステーキだった。
では、私は他の皆様をお呼びしますので、少々お待ちください。
彼女はそう言うと、アーサーと私にに一礼し、再び部屋を出て行った。
お腹を空かせてるところすまないね。
ここでは、皆が揃ってから食事をするという決まりがあってね。
いえいえ。とんでもありません。
私の方こそ、いきなりお邪魔してしまった上に、お料理までいただいてしまって……。
私は、アーサーに、改めて感謝をする。
そうだ。君の名前を決めておこう。皆に紹介するのに、名前が無くてはおかしいからね。
そう言って、アーサーは顎に手を当てて私の名前を考えている。
あ、あの……。
そんなに真剣に考えてくれなくても良いですよ。
明日には出て行きますので。
私は、アーサーに言う。
いやいや、名前は大切だよ。
それに、君の名を呼ぶとき、名無しさんでは、かわいそうだからね。
さすがに、名無しさんとは呼ばれたくないと思った。
そして、しばらく考えたアーサーは、はっと思いついたかのように、手を叩いた。
ジャスミンというのはどうですか?
アーサーが微笑みながら言う。
え、ええ。良いですね。ジャスミン。
アーサーの笑顔は、どことなく安心感を与えてくれるもので、何故か、記憶喪失の私には、ジャスミンという名前がしっくりきた。
では、以降、ジャスミンと呼ばせていただきますね。
ああ、そろそろ皆が来る頃ですね。
そう言って、アーサーが扉の方を見る。
私もそれに釣られて扉の方に目を向けると、メイドの少女を先頭に、洋館の住人達が部屋に入って来た。