第11話 臨時会
その翌日、僕は家で勉強をしていると、下の階でいつもどうり夫婦喧嘩が始まってしまった。僕はもうそれを止めるのが嫌になってしまったのでいつものファミレスに自転車で向かった。
いつもどおり、ドリンクバーを注文してコーヒーを取に行くとその光景に一瞬言葉が出なくなった。
なんと香川がメロンソーダグラス3個分を手にしていたからである。
香川はバツの悪い表情を強く表し、
第11話 臨時会
その翌日、僕は家で勉強をしていると、下の階でいつもどうり夫婦喧嘩が始まってしまった。僕はもうそれを止めるのが嫌になってしまったのでいつものファミレスに自転車で向かった。
いつもどおり、ドリンクバーを注文してコーヒーを取に行くとその光景に一瞬言葉が出なくなった。
なんと香川がメロンソーダグラス3個分を手にしていたからである。
香川はバツの悪い表情を強く表し、
やあ。。松川もここ好きなのか?
ああ、そうだね良く来るかな。。
しかしその時、彼のテーブルに目をやるともっと驚くべき光景が広がっていた。。
テーブルにはステーキ3人前、グラタン、スパゲティーマカロニ2人前その他大勢!
僕は少しだけ清水の言った言葉が脳裏に蘇り、思わず
香川くん!なにやってるんだよ!ご両親だって心配しているのに、まだ入院中だろ!
うるさいなあ~ほっといてくれよ、今日はかあさんも田舎に帰っているから好き放題くえるんだから!!
僕は香川君が口に運ぼうとしていたグラタンの入ったスプーンを取り上げた。
だめだ!!!こんなんじゃ!!本当に死じゃうよ!!
もうどうなってもいいっ!俺は全て無くなってしまった、だから食べる事しかないんだ!
その後かなり怒鳴りあってしまったので、店長らしき人に退店を促されてしまった。
もう、お前のせいだからな、夕食、食いのがしたの。。。
ごめんな、でも香川君、俺も食いのがしたから。。。おあいこってことで。。。
まあいいか、しょうがないから不味い病院食でも食うか。
そうしときなよ、でも香川、どうしても気になってることがあるんだけど。
なんだよ?
どうして料理止めたの?
。。。。。。。。。。。。。。。
そうか、この喪失感が出ている表情は。。。やっぱり、本当に何かを失ったんだな。
何か無くなったら誰でもやけになるよね、俺もなんとなく分かるよ
松川に分かるかよ、お前もあっち側の人間だよ、俺にとっては
は?何言ってるんだ、香川。。。分かったよ、やっぱり実際見てもらったほうが良さそうだな
香川、ちょっと付き合ってもらえないか?
まあ暇だからいいけど、どこへだ?
いいから来てくれよ、それで俺がどっち側の人間か判断すればいいから
そして僕は彼をある場所へ連れていき、、そっと目配せして香川を窓越しから覗かせる、
それは僕の父と母の夫婦喧嘩まさに真っ最中の光景だった。
これは。。。。。。。。。お前の?
そう、正直言って死ぬほど恥ずかしいし、自分でも悲しい、でも何もできない。今までいろいろ考え手を尽くしたけど駄目だった。。。。。
お母さんは大丈夫か?ずいぶんと荒れてるようだけど。
あの親父の表情なら大丈夫、最近は大分あれでも、まるくなってきたほうだから、暴力もかなり少なくなって来ているそれにかあさんも大分強くなってきていると思う。でも香川、僕はお前が羨ましいよ、
え?何でだよ?
だって、自分の事だろう?お前が悩んでいることは?自分でやろうと決めれば自分で解決できるじゃないか!でも俺は自分ではどう言っても結局は二人の決めることだから、何を言っても僕は間接でしから決められないんだよ!分かるか?僕の言っていることが!!
その後、香川を病院に送っていく途中、突然香川は泣き出した。夕暮れ時の道は通勤帰りのサラリーマンが結構歩いており、僕達は注目されてしまった。
ひとしきり、香川はか細い声で泣いた後、料理を止めてしまった理由について話してくれた。
香川は実は、入学したかなり最初の頃から同級生の中西まゆらとかなり仲が良かった。
彼女からある日所属するグルメ倶楽部へ入会するよう誘われた、部員を増やして部に昇格したいという理由が透けて見えたが女子に優しくされることが慣れていなかったので、また好きな料理もできるといわれていたので、入会した。
入会してから中西とも他のメンバーとも楽しくやれていたし、中西はとてもやさしく接してくれたらしい。だが数週間後彼にとってショックな光景を偶然目撃してしまう。
彼はその日経験した光景について話してくれた。それは彼がグルメ倶楽部に忘れ物を取りに行こうと部室のドアを開けようとした時偶然聞いてしまった中西と他の女子部員の会話だった
ねぇ、まゆら、一つ聞いていい、
ん何?
あんた、相撲先生と付き合ってるの?
えっ?相撲先生って誰?
えっ?知らないの?
誰その人、
いやっ、えーと、
何それ?隠すのとか嫌だしー言ってよ、
いや。。。てっきり香川君と付き合ってるのかなあと、
え?何で、そんな事、
えっだって、いつも一緒にいるし、いい雰囲気だし、料理もいつも一緒にするし、食材とかも一緒によく買いに行ってるじゃない、日曜日に!
あれは、必要に迫られてっ言うか、ただ食事作ってもらえるから便利かなって
えーそれだけぇ本当かなぁ、わざわざ日曜日に?
何もないよ、本当に、たかが料理で。。。
ふーん、あっそ
ちょっと、何か、その言い方納得してないっていうみたいな、、迷惑だな本当に!
いや、わかったよ。
その後だよ、掲示板に俺と中西の事を面白半分にからかうスレッドが立ち始めたのは、後は、言わなくても、分かるだろう?
香川は、カバンからノートPCを取り出すと、保存してあった過去の掲示板のスレを僕に見せた。
美女と野豚彩備高の奇跡。
直ぐに削除されたけどね。野豚だって、野豚は普通猪だろう?滑稽だろう?お前らも笑えよ、自分ではどうにも出来ない、人の外見を!!
清水や田中みたいに与えられた見た目のよさがある者に分かるか?松川、お前もメガネを取れば同じだ、俺にとって料理を作る事は全てだった、でもそれすら否定された俺には何もない!だから、どうせ馬鹿にされるならとことんまで食ってやろうと思った。
香川君、気持ちは分かった、今回の件単なる料理とか健康とかだけの問題じゃないなような気がしてきた
へっ?
この話、僕達に任せてくれないか?ちょっと考えがある
次の日僕は自分でも珍しく、自分から生徒会臨時会の召集を生徒会長に提案した。
などど堅苦しく言ってみたが、単なる香川君の件について話したいから近くの喫茶店に清水とはなさんを誘った。
喫茶店に入ると、清水は既にそこにいて僕を待ってくれていた。
悪い自分から召集かけて遅れて
いやいいよ、松川書記直々の生徒会臨時会の召集要請だものね、喜んできたよ、で?何の用件だい、まあ恐らくあの件なんだろうけど。。。
その時、少し遅れてはなさんも合流してきた。
ごめ~ん!ちょっとウチの仕事が忙しくなっちゃって、臨時でバイト入らされてね、本当にごめん!
いいよ、僕達もちょうど今からだったから
えっとあの、今日はわざわざ僕の呼びかけに集まってくれて有難う。実はしってると思うけど、例の香川君の件だけど彼には中西まゆらっていう仲良くしていた女子がいてその子との関係が彼の今回の問題につながっているような気がするんだ。
どうしてそう思ったの?
実は昨日偶然ファミレスで彼とばったり会って、その後いろいろ話したんだよね、そしたら今言った子の事、香川君は恐らく好意を持っていたんだと思う。だけどその後疎遠になったみたいなんだ。
ふ~ん?でも相手のまゆはどう思ってたんだろうね?
え?まゆって?はなさん中西さんの事知ってるの?
あっうんそうだよ、彼女とは先々月あったある件で知り合いになってね
ふ~んそうなんだね、って言うことは清水も知っているの?
いやその件に関しては女性特有のというか男の俺があんまり関わらないほうが良い様な気がしたんで田中に全て任せたんだよね。。。
そうなんだ、まあ今はそのことはいいや、また時間があった時にでも聞くよ
あっそうだ、それでね香川君は中西さんと同じグルメ倶楽部っていう同好会に入っていてね、そこで料理を一緒に作ったり、日曜日にも食材を探す為買い物にも行くくらい仲良かったらしいんだけど、その後香川君、中西さんが友達に関係を少し面白半分に冷かされていたところを偶然目撃してしまったらしいんだよ。はなさん、どう思う?僕は恋愛とかしたこと無いから分からないんだけど、こういう場合って中西さんって香川君に好意があったのかな?この程度で二人の仲っておかしくなっちゃうのかな?
う~ん、それだけじゃ、なんとも言えないな~確かにいい雰囲気のところを冷やかされると本当に距離が取りにくくなるかも、でも絶対じゃないし~うん?ちょっと私的に今こうくんのいった言葉ひっかかるな~恋愛したことない?それは今もって事なの?こうくん~
いやあの、それは言葉のあやというか、
(ちょっとなんだか訳わかんない方向に話がそれていくよ!頼む清水!)
田中!今は生徒会臨時会の最中だ!議論に集中しろ!
はっ、そうだったごめん、ごめん。そうだね、でもそれだけじゃやっぱりね、女子からみたらただの友達だったとも言えなくはないな~
そうかあ。。。。やっぱり友達か。。。彼を助けれる人かなあと期待したんだけどね。。。そうすると彼のひとりよがりか。。そうか~
あのさあ、清水の高い情報力を使って中西まゆらの過去についても、出来るならちょっと調べて欲しいんだけど、どう思う?
過去一時的に香川となんらかの関わりがあった中西が今回の香川の件とかなり関連がある、そう確信しているんだね、松くんは。
いや、そんな決めつけてる訳じゃないんだけどね、何となくっていうか。
君の何となくは、いつも正確だからなあ、正直嫉妬心に近い羨ましさを感じるよ、俺には無くて君にはあるものだね。
好きでこんな風になった訳じゃないけどね、相手にはあって自分には無いか。。。
そうだね、確かに彼女から取っ掛かりを得るのも有効かもね、ただ、残念ながら中西は確か関西出身でいまは寮に住んでいるから、俺でも今回の件に役立つ情報が得られるかどうか微妙だな。。。。。
そうかあ、
あっそれなら、確約はできないけど私やってみようかな
えっ本当?はなさん
う、うん いつも二人に頼ってばかりだもんね、たまには私も役に立ちたいんだ、どこまでできるか分からないけど、彼女とはさっきも言ったけど知り合いだから、今度近いうちにお茶でもしてみて何か聞いてみる。
ありがとう、助かるよ。
じゃあ、中西さんについてははなさんに頼んでもいいかな?
うん、わかった。って、言っても全然自信ないけど、こうくんみたいに頑張ってみるよ。じゃあ、私バイトあるから、ここで、
うん、頼むね。
いゃ~頑張ってみるよ、なんていっちゃたけど、私にできるかなあ、清水みたいに計略みたいな裏をかくの得意じゃないし、かといってこうくんみたいに人の表情とかから、本音読めないし、うーん、まあとりあえず、会ってみるか