街の中心で待ち構えていたのは、今までの影とは比べ物にならないほど巨大な狼の影。狼は、絶えず周囲に小さな影を生み出し続けている。

6号

どうもならんッスねー。

???

アンタのせいでしょ!
雑魚が邪魔で本体が削れないじゃないの。あいつら引き剥がしてよ!

6号

このキャラクターは魔法剣士がコンセプトなんで、ヘイトを集めるスキルは切ってるッス。

???

使えない……。

ヤクルト

6号さん! 大丈夫ですか?

6号

お、良いところに。

???

ん、知り合い?

 6号の隣に居る女性、キャラクターネームはRose、レベルは6号に並ぶほど高い。

Rose

私はRoseっていうのー。
よろしくね。

ヤクルト

あ、どうも。
ヤクルトって言います。

6号

ちょっとちょっと。
ボスが目の前に居るのに、のんきに自己紹介しないで欲しいッス。

Rose

別にいいでしょ。
どうせ、こっちが行動しなければ向こうも動けないんだから。
行動選択中は雑談タイムよ。

レグルス

これが強者の余裕か。

6号

違うッス。

6号

えー、話を戻して……。
良いところに来てくれたッス。

あのボスを倒したいんスけど、雑魚が邪魔で攻撃することができないッス。
雑魚の相手を頼めるッスか?

ヤクルト

勿論です。任せてください!

レグルス

……というか。

 狼のレベル表示は、6号やRoseのそれと同等だ。3人に太刀打ちできる相手とは思えない。

ジーク

私達がアレの相手をすれば、1撃ともたないだろうな。

レグルス

そういうことだな。
雑魚は俺達に任せてくれ。

レグルス

というか、なんで最初の街に出てくるのがこんな化物なんだろうな。

ヤクルト

ここも、改善の余地有りですね。

Rose

ごめんねー。
頼んだわ。

 レグルス、ヤクルトの2人が二手に別れ、狼を挟む。

レグルス

こっちへ来いッ!

ヤクルト

お前らはこっちだ!

 2人が影を引き付ける。狼の周辺に居る影達が綺麗に左右へ別れ、狼までの道が開いた。

6号

まるでモーゼッスね。

Rose

馬鹿なこと言ってないで、早く行きなさいよ。

6号

へいへい。

 6号が"道"を駆け抜けた。狼影が吠える。

6号

あぶね……ッス。
爪の攻撃はかなり強力そうッスね。

6号

なら、その足を封じさせて貰うッス。

 6号の大剣が水流を纏う。水流は斬撃に追従し、切り裂いた狼影の足に絡みついた。

Rose

ナイスよ。

 Roseの手から、無数の氷弾が放たれる。
 氷弾は絡みついた水流に着弾し、凍結を始めた。狼の足が氷りで覆われ、身動きが取れなくなる。

6号

……。

Rose

6号

ぶい じゃねーッスよ。

Rose

ほらほら。来るよ。

 爪を封じられた狼が牙を剥き出しにした。

 6号目掛けて齧りつくが、既に6号の姿は無い。

6号

カウンターッス。

 6号の反撃箇所を、Roseの氷弾が的確に追撃する。

 狼の咆哮が響き渡った。咆哮の衝撃で、狼影の氷塊に亀裂が入る。狼は氷塊がまとわりついた爪を力任せに引き抜き、6号目掛けて振り抜いた。

 爪の攻撃を受ける前に、6号は地面を強く蹴って飛び上がった。狼の攻撃は空を切る。

 狼は宙の6号へ牙を剥くが――

 頭部に氷弾を受け、狼の狙いが反れる。

6号

ナイス! これで決めるッス!

6号

――奥義!

6号

氷牙一閃――

Rose

ダッサ……。

 6号の奥義(?)を頭部に受けた狼は、霧となって消え去った。狼が消滅したためか、周りの影達も消えていく。

6号

なんでッスか。ちゃんとトドメ刺さってるじゃないッスか。

Rose

アンタの決め台詞の事を言ってんのよ。

ヤクルト

凄いですね! 本当に倒してしまうなんて。

Rose

皆が雑魚の相手をしてくれたおかげよ。ありがとう。

レグルス

倒したのはほぼジークなんだけどな。

ジーク

私にできる事は、敵を倒すことぐらいだからな。

ジーク

今回は2人が離れていたから、少ししんどかったよ。

6号

とにかく、おかげさまでイベントクリアッス。皆お疲れ様。

ヤクルト

じゃあ、これで街は平和に戻るんですね。

6号

んー、それはわからんッス。
イベント期間はまだまだあるし、多分あの狼、また来るッス。

ジーク

……は?

Rose

また狼が湧いたら、皆お願いね。

レグルス

……え。

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