4月8日

朝、まだ廊下にいる生徒たちがクラスメートかどうか判断が難しい。
そんな中、うしろ姿の雰囲気だけでなんとなく彼だとわかってしまう。

犬伊

おはよう、新乃

新乃

……

トン、と肩を叩くと新乃は振り向き、俺に気付いた。
そしてやっぱり、頷くだけだった。

犬伊

うーん、こいつはこういうやつ、ってことなのかな

犬伊

ま、難しく考えるのはよそう

犬伊

今日、課題試験だっけ
面倒だよな、入学早々試験だなんてさ

入学式の時にもらった行事予定表によれば、今日は午前中いっぱいを使っての課題試験だった。

課題試験というのは、高校合格決定後に春休みの課題として数学・漢字・英語の問題集が送られてきたのだが、それの習熟度をチェックするための試験らしい。

犬伊

新乃勉強した?

新乃

……

新乃を見ると、驚いた顔をしていた。

犬伊

あれ……もしかして……知らなかった?

新乃

……

犬伊

そ、そっか
俺も勉強あんましてないし、まあ課題提出すれば大丈夫らしいし

新乃

……

目をそらした新乃。
つまりは、課題もやってきていないということを察した俺は苦笑するしかない。

犬伊

意外と不真面目キャラ……?
新乃の事がますますわからなくなってきた

それから、行事表の通り課題試験はつつがなく執り行われた。

一時間目、漢字テスト

新乃

……

犬伊

新乃、そんなに出来が悪かったって感じじゃないな

2時間目、数学テスト

新乃

……

犬伊

笑っちゃ悪いんだけど……
すごいわかりやすく顔に出てるなあ

3時間目、英語テスト

犬伊

新乃は、燃え尽きてしまったようだ

犬伊

ほら新乃、落ち込むなって
疲れたし糖分補給しなよ

俺はカバンに入っていた12個入りのチョコレートを取り出した。

新乃

……

犬伊

お、反応したぞ

犬伊

はい新乃

新乃

……

俺がチョコレートを新乃の右に左に動かすと、新乃は物欲しげに口を開いて目で追った。

犬伊

なんだこれ、ちょっと楽しいかも

俺が調子に乗ったその時だった。

犬伊

え……?!

新乃

……

犬伊

……

耐えきれなかったのか、新乃は俺の指ごとチョコレートに食いついた。
ほんのいたずらだったのに。

犬伊

なんだ……これ……

指に当たった新乃の唇が想像以上に柔らかかった。
俺はどうしてかそれが気になって妙にドキドキしていた。

新乃

……

犬伊

新乃はチョコレートに夢中だし……
俺、なんか変だ……!!

つづく

新乃って意外と大胆!
俺、びっくりしちゃった。
そんなこんなで今日は終わったけど、明日は土曜日。
次に会えるのは月曜日かあ。
なんて思ってたんだけど……?!

犬伊

次回予告ふざけすぎなんだけどこんなんで果たして大丈夫なのか?!
また見てね!

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