4月6日

今日から高校生活の始まりだった。
期待と不安を胸に、俺は教室の自分の席に座る。

黒板に貼られた座席表によれば、俺の席は一番後ろ。
隣は赤崎と新乃というらしい。

犬伊

(隣はまだ来てない……か

茅野先生

入学式の前に出席とるぞー
自分の席座れよー

茅野先生

ん?
赤崎と新乃は風邪で欠席か
新学期早々不運な奴らだな

犬伊

(休み……?!

犬伊

隣がいないなんて……孤独だ……

4月7日

次の日

犬伊

お、今日は来てるんだな
おはよー、新乃

新乃

……

教室に入ると、昨日空席だった隣には人がいた。
早速声をかけるも、反応がない。

犬伊

あれ……新乃、であってるよな?

新乃

……

新乃は何も言わずに頷く。

犬伊

あれ……嫌われちゃったかな

犬伊

俺、隣の席の犬伊
これからよろしくな

新乃

……

俺が言うと、新乃は何も言わずにただ頷いた。
それから他の奴が話しかけてもやっぱり頷くだけだった。

犬伊

うーん、ちょっと変なやつかも

犬伊

高校生活、前途多難って感じ

つづく

隣の席の新乃は全然喋らないし、反対隣の赤崎は今日も休み。
前の席の奴とは友達になれたけど授業中は喋れないし。
席替えだってひと月先っていうし。
え、ひと月も新乃の隣じゃ俺は言語を忘れちゃうよ!
新乃も悪い奴じゃなさそうなんだけど、俺の高校ライフ、これからどうなっちゃうの?!

犬伊

また見てね!

4/7 隣の席の新乃

facebook twitter
pagetop