合宿二日目。
施設の会議室に、ミーティングテーブルをロの字に並べてみんな向かい合って座った。
今度は漫画研究部の技術を美術部が学ぶことになっていた。
そこで、山根さんのプロットを全員で読み、登場人物のキャラデザインを自由に想像して描いてみることになった。
漫画研究部の中でも、画力、ストーリー共に一番うまいのはやはり山根さんなのだそうだ。
この日初めて知ったのだが、山根さんは某少年漫画の雑誌で受賞経験があり、担当が付いてるという。
上手い、面白いとは思っていたが、ここまで先を進んでいると思っていなかった。
こうなってくると山根さんに対して少し萎縮してしまう。
とりあえず後でサインをもらっておくとしよう。
全員がプロットを読み終わり、目の前の真っ白い紙に鉛筆を滑らせ始める。
時に目を閉じたり、腕を組んだり、うんうん唸りながらイラストを描いた。
顔を上げて周りを見ていると、美術部のみんなは大体僕と同様、悪戦苦闘している様子だ。
それに対して漫画研究部の部員はサラサラと楽しげに描いている。
驚くことに、山根さんと飯塚さんだけが立ち上がってポーズをとったり、自分の手をあれこれ動かしながらその手を眺めたりしている。
やはりこの二人、僕らとは何かが違う気がした。