アヴィスへ戻ると隊長から招集がかかり応接室へと集まった。
アヴィスへ戻ると隊長から招集がかかり応接室へと集まった。
みんな、昨日は御苦労だった。ティナはまだお前達に会わせられる状況ではないが、
回復の兆しをみせている。
良かった・・・
隊長の言葉に全員安堵する。
ここに集まってもらったのは確かめたいことがあったからなんだが、昨日の戦闘の時に
前回話した人型モンスターらしきものを見ていないか??
いや、見ていないですね・・
俺も見ていません。
私も、見ていないです。
そうか・・・
全員首を横に振り否定する。
隊長はそれらしきものを見たんですよね?
あぁ、人影を見た気がしたんだが、気のせいかもしれん。
じゃあ戦闘の途中から隊長がいなかったのはモンスターを探していたからなんですね。
何かあったかと思ってみんな心配していたんですよ。
・・あぁ、すまない。ちょっと気になって広場から離れたんだ。
私の指摘にバツが悪そうに答える隊長は誰の目から見ても怪しかった。
まぁ、何事もなければいいんだ。明日は全員出動してもらうつもりだから、
今日のところはしっかり休んでくれ。では解散。
明日の任務に備えて、私達は早めに休息をとった。
そして翌日の昼過ぎ、応接室に全員集まり待機していると隊長がかなり慌てた様子で、
ノックもせずに部屋に入ってきた。
全員揃っているな・・!?地下の爆発を知らせる警報が鳴った。危険だからすぐに外に出てくれ!
地下って・・ティナは無事なんですか!?
大丈夫だ、既にカプセルごと搬送機で移動させている。とにかくすぐにここから離れるんだ!
そう言って隊長は部屋を飛び出していった。
ねぇ、どう思う?
怪しいな・・・
少し見回ってから外に出ようか。
私達は一番怪しい場所である研究室へと続く階段付近に向かうことにした。
特に変わった感じはしないな・・・
物音も聞こえてこないし・・・でも施設に不具合があったのなら逆におかしいわよね
そうだな・・・っ、誰か来るぞ!!!
3人で階段を覗き込んでいると後方から足音のようなものが近付いてきた。
身構えて振り返るとそこには・・・・
え・・・・なに? 嘘でしょ・・・!?
ヌラ!?・・いや、あの髪はティナ、なのか・・・!?
ぐぎょおおおお・・・
ほぼ全身がヌラの体で覆われており、かろうじて左頭部からティナの特徴であるツインテールが飛び出していた。
あまりにも衝撃的な見た目に私はその場に崩れ落ちて呆然としていた。
ど、どうしたらいいんだ・・・!?
ぎょおおお・・・タ・・・タス・・・
おい、何か喋っているんじゃないのか?ティナ、俺達が分かるのか!?
タ、スケテ・・・・ぎょおおおぐおおお
体をくねらせて苦しんでいるような叫び声が廊下に響く。
だんだんと体が大きくなっていき、全て飲み込んで完全なヌラになってしまった。
いや・・・いやああああああ!!!!
リリアーヌ、落ち着いてくれ・・・。
一体なんでこんなことに・・
変わり果てていくティナを見て泣き叫んでいる私の手をカルマがそっと握ってくれた。
カイトはヌラになってしまったティナの様子を窺っている。
くそっ、やるしかないのか・・・?
カイトやめて!あれはヌラじゃなくてティナなのよ!!
・・・・!!みんな伏せろ!!!
カルマの一言で全員がその場に伏せた。
すぐにヌラの光線が放たれたが、間一髪で私達の上を通り過ぎ壁に穴を開けた。
リリアーヌ、あれはもうティナじゃない・・・
嫌、嘘よ・・・ティナ・・・
見ない方がいい・・
カイトがヌラに向き直り魔法を唱え始めると、私の視界はカルマの手によって遮られた。
ぎょおおおおお・・・シテ、ワタシ・・ヲ、コロシテ・・・
アクアバースト!!!!
ぐおおおおお・・・!!!!!
カイトの魔法によりヌラは消滅した。
もちろんティナの姿も残っておらず、辺りは静寂に包まれた。
ティナ・・・ティナ・・・
階段を上がってくる音がする、早く離れるぞ!!
歩ける状態ではなかった私を二人が支えるようにしてその場を後にした。
アヴィスを出たところで隊長が後ろから駆け寄ってきた。
お前達、まだここにいたのか!?・・リリアーヌはどうしたんだ、怪我でもしたか?
あ、実は逃げる途中でヌラに遭遇して・・・
な、なんだと・・・
カイトがヌラという言葉を発した途端、隊長が焦ったような表情になる。
なんとかカイトが倒したんですが、戦闘途中でリリアーヌが頭を打ってしまって・・
心配かけてすみません・・・少し休めば大丈夫です・・
誤魔化してくれたカルマに続いてなんとか言葉を繋ぐ。
そうか、無事だったなら良かった。
しかし、どうしてアヴィス内にヌラがいたのでしょうか・・
地下の爆発は大丈夫なんですか?
どこかから侵入したヌラのせいで地下の制御装置が作動したのかもしれんな。
確認したが、異常は治まったようだ。もう戻って構わない。
分かりました、では応接室で休ませてもらいます。
ティナは、また地下に戻ってくるんですか?搬送機で運び込む時に一目でも会えないでしょうか?
あー・・いや、しばらく地下の設備の点検をしてから戻すことにするからまだなんとも・・。
そうですか、分かりました。
言葉を濁す隊長に、怪しいという疑惑は確信に変わった