……

ひっく……

……

 かえらぬ人となった大地を乗せ、一行は本部のある街へと飛空艇で帰還する。

すみません。俺がもっと強ければ……

あなたは悪くないわ。憎むべきはあの地球外生命体……

あたし……必ず魔女を倒す兵器を作りますから。大地さんの死を無駄にはさせませんから……

ローザ様……あいつら一体何が目的で地球を……

なんだ!?

 飛空艇内部にサイレンが響き渡る。

緊急事態です! 他国の飛空艇が接近中! このままですと衝突します! 衝撃に備えてください!

 飛空艇が揺れる。

きゃっ!

侵入者です! 飛空艇内部に侵入者あり!

まじかよ!

ローザ様を!

動くな! おとなしくしてもらおうか

 ぞろぞろと銃を構えた軍人が部屋へ入ってくる。

くっ、なんだお前ら

捕らえろ!

何が目的だ!?

その女がローザだな。我が国の軍事開発に協力してもらう

ふざけないで! 今は人間同士で争っている場合ではないでしょう!

おいっ、他の奴は始末しろ

はっ

そんなことしたら、あたし舌をかみ切ります!

なっ!

あたしが目的なんでしょ? 死なれたくなかったら止めてください!

……くそっ

すみません……ローザ様

 こうして青夜たちは捕捉され、ジャックされた飛空艇は、進路を変えられた。

ここは……

北部の国……内紛が絶えないと噂の軍事国家よ

おいおい……あの上に設置されているのって……

あれは……RAVEの試作機……

なぜここに……

 両手を縛られた青夜たちは、軍人に引っ張られる。

こいつらを監禁しておけ!

っ……! 離しなさいっ……!

お前はこっちだっ!

きゃっ

ローザ様!

くそっ

ローザ様、大丈夫かしら

あの人はずっと幽閉されてきたんだ……こんな形で外の世界を見せたくない!

まあでも大丈夫でしょう。じきに自衛隊がくるわ

なぜそんなことがわかるんですか……!

詳しくは言えないのだけれど……こんな時のためにローザ様の体内にはGPSが埋め込まれているのよ。ここの人たちは知らずに拉致したのでしょうけれど

埋め込まれているだと……?

ええ。そのオペをしたのは私だから。政府はどんなことをしてでもローザ様を取り返しに来るでしょうね

そんな……ローザ様は……完全に道具扱いじゃないですか!

そうね。ここの人たちも人道的に扱ってくれるかが心配なところだわ。自衛隊が来るまでに何もされてないといいのだけれど

くそっ! やはり助けに行かないと!

ええ。隙を見て脱獄しましょう。そしてローザ様……いえ、私の数少ない大切な友達候補のもとへ

第一章 第四話『ハイジャック』

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