君がドクターローザか……

……

本当にまだ子供じゃないか

……

本当に君があのRAVEを作ったのか?

どうして……あの試作機がここにあるんですか!?

君は何も知らないんだな

……

キミが開発した兵器、それにブレードも、銃も。全て我々の戦争に使わせもらっているのだ

そんな!? あれは国を守るための……

甘いな、嬢ちゃんよ。兵器が自衛のためだけにあるなんて訳ないだろう

でも長官さんは……

長官? ああ、我々はその長官から金で買っているのだからな

そんなっ……!

さあ、とっととRAVEのバージョンアップをしてもらおうか! こっちだ!

きゃっ

 蹴り飛ばされるローザ。

 一方、青夜たちは――

ぐはっ……

隙だらけじゃないか。ぬるい奴らだな……

行きましょう

 脱獄に成功した青夜たちは、ローザの救出に向かう。

裏口から潜入します!

貴様ら! どこから……

うぐっ……

本当に強いのね、青夜くん

いえ……ローザ様を拉致されてる時点で、俺なんて……

ここだな……

青夜さん!!

ローザ様!

すぐ自衛隊が来ますから!

ちっ、抜け出しやがったのか。役立たずどもめ

へへっ……

 そこへ背後より現れた兵に、ミドリは首を腕で締め上げられた。

うぐぐぐっ……

貴様っ!

動くな……!

ちっ……

両手を見えるところに出すんだ。さあ、壁に手を付け!

ああ、ちなみにこれもキミが開発した銃だったかな

やめて!

 男は銃口を青夜の後頭部に突き付けた。

……!

君の開発した武器は、たくさんの人を殺してきたんだ。非常に役に立っているよ

やめて……

やっ!!

ぐわああ!!!

 隠し持っていた小型スタンガンで兵を振りほどくミドリ。

逃げて青夜くん……!!

このアマ!!

ミドリさん危ない!!

いやああああ!!!!

貴様っ……!!

ぐはあっ!!

 青夜は男を蹴り倒した後、手に持っていた銃を奪った。

がはっ!!

 ミドリにスタンガンを食らい、もがいている兵を青夜は容赦なく撃った。

おい、貴様! ローザ様があの飛空艇に乗っていること、どうやって知った!?

くそっ、くそっ、くそがっ!!

ローザ様に近づくな!

もう、やめて!!

っ……

逃がさんぞ……!!

 這いつくばりながら、ローザの足を掴む男。

やめろ……!!

 青夜は引き金に指をかける。

ぐふっ……

ちっ……まだ情報を聞き出せてなかったのだが……

いやあああっ!!

ローザ様!?

 ローザは外壁の足場へ飛び出し、身を乗り出した。

あたしがいなければ……あたしのせいでたくさんの人が……

それは違う!!!

違わない! 世界を救う才能だとか言われて、いい気になって……最低だよあたし!

違う……! 貴女は悪くない……!

来ないで!!!

もう無理だよ……とりかえしのつかないことを……たくさんしてたんだよ

ローザ様……

もう……消えてなくなりたい……

くっ……

ごめんね青夜さん。今まで……ありがとう

やめろ……やめてくれ!!

いい、もういいんだ……!
博士という肩書きを捨てて、自分のために生きればいい……! あんな鳥かごから出るんだ……

鳥かごの……外……

ああ。外にはもっとローザ様の知らない世界や物事がいっぱいある! 人間なんてちっぽけなもんだって思うさ

でも……ミドリさんも死んじゃった……初めてできた友達だったのに……

もう……失う悲しみは……味わいたくない……

……わかりました

じゃあ、俺も一緒に飛び降ります。それでも生きてたら――――

貴女は自己中心的な主人公。そして俺はいち兵士。そんな旅をはじめよう……

青夜……さ……ん……

 そう言って青夜はローザを抱き締め、足場から飛び降りた――

ぐはっ……!

 ローザを守るように地面へと落下した青夜。

ああ……着地訓練しているとはいえ、結構きついな……

 意識を失っているローザを、骨折した両腕で抱き締める。

この人は……

……この子は、俺が守る

 何があってもローザの味方でいよう――そう心に誓った青夜であった。

第一章 第五話『いち兵士として』

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