一方、飛空艇では――

行っちゃいましたねぇ

青夜くんもいるし大丈夫でしょう。戦闘の能力はナンバーワンと聞いております

はいっ、すっごく強いんですよぉ

ところでところで、ミドリさんは、大地さんと付き合ってるんですかぁ?

いえ、幼馴染なぐらいで、腐れ縁ですよ

いいですねー仲良さそうで

どこがですか。――ローザ様は幼馴染とかいらっしゃらないのですか?

あたしは小さな頃からあの空中庭園で育ったから、友達ひとりもいないの

そ、それは失礼しました

でも、あたしが作ったもので人の役に立てるならそれでいいんだ。人が好きだから

ローザ様……もしよろしければ私が友人に……

えっ?

いえっ、すみません差し出がましいことを。私ったらいつも思ったことをすぐ口にしてしまうので

お友達になってくれるの?

私も友人が多くはないので

やったー! うれしいっ!

ローザ様……

ローザでいいよっ! あたしもミドリって呼んでいい?

いいのかしら……上層部の人たちに抹殺されそうな気がするけど。尽力してみます

そんな大げさだよー

何っ!?

大地の声だわ!

行きましょう!

 ローザは飛空艇を降り、声のしたほうへと駆け出す。

あ、ちょっと! ローザ様!

 ローザの後を追うミドリ。

青夜さん!

ローザ様! なんで来たんですか!

キシャアアア

それよりこの怪物は……

ええ。かなり成長しているようです……だいぶ苦戦しましたが

離れていてください! とどめを刺します!

うりゃあああ!

 青夜が怪物の身体を駆け上り、頭部にブレードを突き刺した。

グゴゴゴ……

 怪物は地上に平伏し、悶えるように死んだ。

大地は……!?

すみません……ミドリさん

大地っ!?

大地!!

……

ミドリさん、手当てを!

……もう、亡くなってるわ

そんな……

……

 青夜は怪物の内部から、結晶を取り出す。

これで足りますか

そんなことより大地さんが……!

『そんなこと』ではありません。大地さんの命と引き換えに手に入れた結晶です

そうね。でも……

少しだけ……少しだけ待ってくれないかな……

 そう言ったミドリは、眼鏡の向こうに涙を隠しながら、大地を抱きしめていた。

 こうして高エネルギー集合体を手に入れたローザたちは、飛空艇に乗り込み、帰路へと舵をとる。
 大地の亡骸を乗せて――

第一章 第三話『高エネルギー集合体』

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