わぁ~! 綺麗ですねぇ

ローザ様、飛空艇は初めてでしたか

はいっ! ミドリさんはいつも乗ってるんですよね?

ええ、といってもドクターヘリのほうですが

ローザ様はまともに外へ出るのも二回目だと

そうなのね……

あっ! あそこ、あたしの住んでるとこっ!

 ローザは窓にへばりついて、目を輝かせながら外を眺めている。

今回の任務の目的を再確認するぞ

1つ目の襲撃地になった西部、その廃墟の都市で高エネルギー集合体を探しに行く

結晶は怪物の中に存在する……つまり死骸から回収することになります

あの都市にいた怪物は絶滅させたのよね

ああ。敵はいないだろうが、必要な数の結晶が入手できたらさっさと撤収するぞ

どれぐらい必要なの?

さあ。ローザ様が納得されるまで……ですかね

青夜くんって誰にも懐かないと聞いていたけれど、ローザ様だけには従順なのね

うるさいです

 ――飛空艇は一路、高エネルギー集合体結晶を手に入れるため、西部の都市へと向かった。

ここか……

なにかあったら一番にローザ様を守ってください

ええ。わかってるわ

死骸を探すぞ

てか、あんたたち二人で行ってきなさいよ。私たちは飛空艇で待ってるわ

それもそうだな……しかし、逆にお前たちだけでローザ様を守れるのか?

大丈夫よ。いざとなったらあんたたちを置いて飛び立つから

ひでえなお前……

いや、 むしろそうしてください。そのほうがローザ様のためだ

 そう言って青夜と大地は飛空艇を降りた。

お気を付けてっ!

貴女もくれぐれも外に出ないように

はぁい!

くせえな……

……

これか……

だが、これでは小さすぎるらしい。かなりの数を回収しないといけないな

 それからも二人は、何体かの死骸から高エネルギー集合体結晶を回収してまわった。

足りねえな……

キシャアアア

 背後より奇声を耳にする青夜たち。

……?

向こうからだ!

おいおい、まじかよ……

 そこには体長10メートル以上はあると思われる、怪物の姿があった。

キシャアアア

ひいっ

 銃を乱射する大地。

だめだ! 弾きやがる!

ブレードによる近接攻撃じゃないと!

キシャアアア

うわあああ!

 怪物は巨大な触手を振り下ろし、大地の目の前の地面を叩いた。

大地さん!

大丈夫だ……やるぞ青夜

 銃を捨て、ブレードを握りしめる大地。

……はい

うりゃあああ!

 大地は怪物目掛けて走り出す。

キシャアアア

 触手の一本が切り落とされる。

はああああ!

 青夜も背後へ回り込み、ブレードを突き刺す。

ギギギギギ……

結構効いてるぞ! いけるかもな!

大地さん危ない!

ん?

 切り落としたはずの触手が、大地の体に巻き付いた。

うわあああ!

 身動きがとれない大地。

キシャアアア

やめろ!

 怪物は大地目掛けて腕を振り下ろす。

ひっ……

うそ……だろ?

第一章 第二話『飛空艇』

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