魔法士

で、みんな勇者クンにメロメロなんですよ~☆

チャッピー

はい! あたし、ご主人様にメロメロです~!

赤竜王

お前はどうなんだ?

竜戦士

は? 何がだよ?

赤竜王

勇者が好きなのか?

赤竜王

愛しているのか???

赤竜王

言い寄られれば、言うがままなのか!?

竜戦士

いやいや、あたいは違うから!

赤竜王

なら、いい……

魔法士

頭を撫でられて、とっても照れてましたけどね~♪

赤竜王

皆の者、武器を持てぃぃぃ!!!

赤竜王

仇敵は勇者なりぃぃぃ!!!

チャッピー

お、王様の目……怖いよ~

赤竜王妃

あらあら、あなたったら落ち着いてくださいな

赤竜王

う、うむ……

竜王様は相変わらず竜戦士のことを溺愛しているようだ。

魔法士

ところで、先生は帰って来られませんでしたか?

チャッピー

先生?

赤竜王妃

ええ……魔法士さんの先生のことよ

赤竜王妃

残念ながら、彼女はあの日から帰って来てないわ……

魔法士

そうですか……









-10年前-









先生

ちょっと出掛けてくるわね~☆

魔法士

いつ頃、お戻りですか~?

先生

う~ん……

先生

分かんな~い! てへっ☆

先生

だからね、先生の部屋と書物はキミにあげる☆ 好きにしていいよ~♪

魔法士

え? それはどういう……!?

先生

じゃあね☆ 皆に言っといてねぇ~♪










-回想終わり-









赤竜王

あやつはワシらとパーティーを組んだ時から、よく分からん奴だったからな……

チャッピー

パーティー? 王様も魔王を倒しに行ったんですか?

赤竜王妃

そうよ! 何を隠そう、初代・魔王を倒したのは私達なんだから!

魔法士

そう、赤竜王様と王妃様……





赤竜王

おらおら~! 雑魚はどいてろ!!! 

赤竜王妃

はい、モンスターさんはさよなら~♪

先生

ちょっと手間取っちゃった☆

師匠

いや……気にしなくて……いい……





魔法士

それから、ボクの先生と、聖騎士ちゃんのお師匠様の4人☆

チャッピー

ほえ~、すごいですね~

赤竜王妃

でも、せっかく倒したのにね、2代目・魔王が現れちゃったのよ

赤竜王

うむ、ワシもこの国を守らねばならぬため、昔のように旅立つわけにもいかんしの……

赤竜王

……

赤竜王

ええい! お主らほどの力の持ち主なら、魔王を倒すことなど容易いであろう!?

竜戦士

いやいや、倒せないからこそ「ドラゴニック・オーブ」をあたいにくれんだろ?

赤竜王

う、うむ……そうだったな……

竜戦士

魔王はあたい達が必ず倒してやるから安心しろって!

竜戦士

それに魔法士よ~、あの先生のことだ、どっかで気楽にやってるさ!

魔法士

……



















竜戦士はボクが先生の身の上を心配していると思っている。



確かにボクは「心配している」。



その点においては、あながち間違っているわけではない。



しかし、心配しているのは、もっと別のことだ。



……信じたくないが、以前から予感はあった。



それがあの刺客たちによって、予感が確信に変わりつつある。



特に、あのクマのぬいぐるみが完全にボクの魔法を封じたこと。



ボクの魔法力を抑えつけられるだけの魔法力の持ち主、それは先生しかいない……。



そして、2代目・魔王が現れた時期は、先生がいなくなった時期と同じ。



あまりにタイミングが良すぎる。



どうか、杞憂であって欲しいのだが……。



















竜戦士

おい! 魔法士! 聞いてるのか!?

魔法士

な、なに!

竜戦士

ほら、呑めって! 明日、儀式が失敗したら、今生の別れになるんだからよ!

赤竜王

失敗など、あってなるものか!!!!!

赤竜王

「紅(くれない)」にはしっかと言い聞かせておくから、心配するでない!

チャッピー

くれない?

赤竜王妃

ドラゴニック・オーブにも人格があるらしいの

赤竜王妃

その人格が「紅(くれない)」なのよ

チャッピー

へー、そうなんだ?

魔法士

さてさて、明日のためにも、もうお酒は控えたらどうかな~?

魔法士

さすがに失敗はできないでしょ☆

竜戦士

バーロー! 明日のために呑んでるんだよ!

竜戦士

そうだ、親父! 勝負しようぜ勝負!

赤竜王

がははは! 娘にそう言われたら受けて立つしかないなぁ!

赤竜王妃

うふふふ! 私も参戦して良いかしら?

チャッピー

じゃ、あたしも!

チャッピー

オレンジジュース、おかわりです!

竜戦士

酒じゃねーしな!

魔法士

……


















ボクは一人、テラスに移動し、空を見上げる。



限りなく確信に近い憶測だけど……。



もうしばらくは胸に仕舞っておこうか……。

















-次回を待てっ!-

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