こちらは竜戦士さん・魔法士さん・あたし(チャッピー)のパーティーです。あたしたちは大きなお城の前にいました。

竜戦士

帰ったぞ~

門番

許可のない余所者は……って、姫!? お、お帰りなさいませ!!!

チャッピー

はわわわ……竜戦士さんってば、こんなでっかいお城のお姫様だったんだ……

魔法士

……(こくこくっ)

魔法士さんは竜戦士さんがお姫様だということを知っていたようです。

あたしはただただ驚くだけでした。

竜戦士

親父はいるか?

門番

も、もちろんおられます!!! ささ、どうぞ中へ!!!

重々しい扉が開き、お城の中に通されました。

赤竜王

ファッファッファッ! よく帰った! 我が愛しの娘よ!

赤竜王妃

おかえりなさい! 元気そうで良かったわ~!

チャッピー

なんだか怖そうなおじさんと、綺麗なお姉さんだな~

魔法士

2人はああ見えても、竜戦士の父君と母君だよ☆

チャッピー

そ、そうなんだ……

赤竜王

さて、早速だが……

赤竜王妃

ええ……

竜戦士

な、何なんだよ!?

赤竜王妃

お風呂にする? ご飯にする? それとも……

赤竜王

わ~し?

竜戦士

……

竜戦士

つーか、親父をどうしろって言うんだよ!

赤竜王

「魔王を倒す!」と、意気込んで出て行ったお前のことだ

赤竜王妃

もっと強くなりたい……って言うんでしょう?

竜戦士

お、おう……

竜戦士

その通り! 何か良い方法はないか!?

赤竜王

うむ、ワシの竜紅玉(ドラゴニック・オーブ)をお前に託そう!

竜戦士

ドラゴニック・オーブ?

赤竜王

そう! お前自身がレッドドラゴンとなるのだ!



王様の説明によると――



この世界にいる7体のドラゴンはそれぞれ、ドラゴニック・オーブと呼ばれるエネルギー体を身に宿しているということです。



今、竜戦士さんはドラゴンである王様と契約をすることで、ドラゴンの力の一部を使うことが出来ています。



ドラゴンそのものであるエネルギー体を直接、身体に取り込むわけですから、今より数倍……いや、数10倍も強くなることが出来るということです。



……でも、適合出来なければ、エネルギー体の力に飲まれて、最悪の場合、死んじゃうこともあるんだって。


赤竜王

お前にはその覚悟があるか?

竜戦士

おうよ!

赤竜王

よしんば死を免れたとしても、理性を失った暴走ドラゴンとなる場合もある

赤竜王

そうなった場合、ワシはこの国のためにも、お前を屠らねばならぬ

赤竜王

その覚悟はあるか!!!

竜戦士

おう! その時はその時だ!

竜戦士さんの意志は固いようです。

王様は向き直ると、叫ぶように言いました。

赤竜王

お二方も、その時は力を貸してくださるか!!!!!

魔法士

……ボクなんかの力で良ければ

チャッピー

……そうならないように祈るしかないよ

赤竜王

……

赤竜王妃

……




王様とお妃様の苦しそうな、それでいて、どこか諦めたような顔。



きっと、竜戦士さんの性格をよく知っているから、それ以上、何も言わないんだと思った。



あたしはまだ子どもを産んだことはない。



けれど、もし、自分の子どもの命を、自らの手で奪わなければならなくなったとしたら。



きっと、きっと、とても辛いと思う……。


赤竜王

うむ、では明日、「オーブ譲渡の儀」を執り行うこととする

しばらくの間、静寂が辺りを包みました。

それを打ち破るように、王様は言います。

赤竜王

せっかくだ、今宵はこれまでの旅の話をゆっくり聞かせてくれ

赤竜王妃

そうね、私も聞きたいわ~

竜戦士

べ、別に大した話なんてねーよ!

魔法士

ふっふっふ~♪ 復讐の時は来た~!

魔法士

このお城を一緒に飛び出した5年間のこと、洗いざらいお話しますね☆

赤竜王

それは楽しみだ! わっはっはっ!

竜戦士

魔法士! てめぇ!

魔法士

ボクと勇者クンを引き離した罰だよ~☆

赤竜王妃

さあさあ、食事の準備は出来ていますから、こちらにいらしてくださいな~

チャッピー

わーい! おなか空いたよ~!

明日がどうなるか考えることが怖くて、あたしは精一杯、おどけてみた。



……どうか、竜戦士さんが無事でありますように。

-次回を待てっ!-

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