間宮 朱里

ふわぁああああ

高橋 つぐみ

でかいあくび。

間宮 朱里

失礼しましたっ



講義が終わり私とつーちゃんは自販機でジュースを購入し、それを飲んでいた。


さっきの講義が面白くなさすぎて眠い。
おかげあくびがとまらない。


なんてことを考えているとつーちゃんがわたしのカバンについたキーホルダーにソッと触れた。

高橋 つぐみ

朱里すごいじゃん。もう当たったの?これ



それは師匠からもらったヒーロー狼

間宮 朱里

えへへもらったの。それ


思い出したら顔が緩んじゃうじゃないか。


しかし私と対照的なつーちゃんは、それ以上興味がないのか普通にミルクティーを飲む。

間宮 朱里

師匠に貰ったんだよ

高橋 つぐみ

へー

間宮 朱里

気になる?今度つーちゃんにも紹介するからね



勝手に話を進めると

高橋 つぐみ

朱里最近師匠とやらにべったりじゃん


とそんなことを言ってきた。


確かにべったりだけど、いいんだもんね。
だって”弟子”だもん。

間宮 朱里

そうなの。いいでしょ



にししししと笑って、先程買った炭酸ジュースを口に運ぶ。


すると

朱里ちゃん!



後ろから名前を呼ばれた。


間宮 朱里


振り向いてみると、この前食堂で絡んできた広大くんの姿。

広大

この前はほんとにごめんね。大のやつ

間宮 朱里

あ、…ううん気にしないで。



大ちゃんを含めて絡んだことはある。だけど食堂の件をのぞくと、こんな風に話しかけられたことなんて無かったからどういう感じに話したらいいのかわかんないや。


あくまで元彼の友達だもんね…


そんな気持ちが顔に出たのか、広大くんは

広大

普通に絡んでくれていいからね。っていうかずっと謝りたくて探してたんだよ。



と申し訳なさそうな顔して頭を下げてきた。

広大

…俺の空気の読めない質問で嫌な思いさせてほんとにごめん!



その言葉につーちゃんは不思議そうな顔したけれど、何も言わずにスマホをいじりだす。

間宮 朱里

え、えっと広大くんはほんとに悪くないから気にしないで

広大

いや…俺、朱里ちゃんは明るくて面白いイメージが強かったから、大と別れても友達として仲良くやってるって勝手に思ってた。それにまさか大があんな風に罵声飛ばすとは思ってなかったし



多分彼は何も知らないんだろう。
そりゃまぁ彼女の友達と浮気したところをみられて別れたなんて、言うわけないか。

間宮 朱里

いいの!もう終わったことだもん。気にしないで!



ニコリと笑うと広大くんは、ホッとしたような表情を浮かべた。


そして少し悩むと恐る恐る口を開く

広大

…あ、あのさ

間宮 朱里

うん

広大

この流れでかなり図々しいんだけど…

間宮 朱里

ん?

広大

…よかったらRINE教えてくれないかな?



なんだか重い雰囲気だったから何を言われるのかとびくびくしちゃったよ。なんだ…RINEか…

間宮 朱里

全然いいよ。

広大

え、ほんと!?やった!今まで大がいたから悪いと思って聞かなかったんだけど、朱里ちゃん面白いから仲良くなりたかったんだよね。



ニコニコ笑う広大くんを人懐っこい人だなぁと思いながら、フルフルとスマホを振って無事に交換ができた。


満足そうな彼は

また連絡するよ!

なんて明るく叫びながら去っていく。

間宮 朱里

…つ、つーちゃん

高橋 つぐみ

ん?

間宮 朱里

男の子にRINE聞かれちゃった!!!

高橋 つぐみ

知ってる…見てたからね


あまり頻繁にないことなので、興奮していると相変わらず冷静な声


高橋 つぐみ

あれは完全に気があるなぁと思うんだけど

間宮 朱里

え、うそ!まじ?まだ不感症治ってないのにどうしよう!!

高橋 つぐみ

友達の彼女だった女によくもまぁ…男って生き物は



相変わらず刺々しいつーちゃんは空になった紙コップを捨てると歩き出した。


スマホを握りしめたままそれについていき私は彼女に話しかける。

間宮 朱里

でも広大くんっていい人そうじゃない?

高橋 つぐみ

…それ元彼の時も言ってた

間宮 朱里

あ、確かに…男はみんな仮面を被ってるからね。私、師匠しか信用してないからっ!!



私の叫びにピタリとつーちゃんの足が止まり

高橋 つぐみ

え、朱里の師匠男なの?


と初めて師匠に関して食いついてきた。


間宮 朱里

そうだよ。しかもかなりの有名人!!



ここらでパンパカパーンと大袈裟に石川くんの名前を出したい。

そんなタイミングをうかがっていると、つーちゃんがピッとある方向に指をさした。


高橋 つぐみ

この大学の有名人と言えば、あの人しか思い浮かばないけどまさかね。



そこには派手な女の子と話してる石川くん。



…あ、ばれちゃった。
っていうかなんかもめてる??

女子

どうしてなの!?翔平!

石川 翔平

だから…そんな気になれないんだよ。

女子

体調悪いの?翔平に性欲が湧かないなんておかしいわよ!!




…おお…丸聞こえだ。

そう思ってたらつーちゃんは呆れた顔でため息をつく。

高橋 つぐみ

……こんな周りに人がいるところで、下品な話をでかい声で。信じられない



だけど私はあの会話で引っかかっていることがあった。



石川くん…体調悪いの?確かにどこか元気がないけど。
















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