家に帰ってから、
どれくらいの時間が経過したのだろうか?
私はこの家に何かの違和感を感じつつ、
今日も過ごしていた。

~Secret Act~

何かが、オカシイんだよな~
工場に行く前は、こんな気持ちには
ならなかったのに・・・。

貴女

あんた!
またぼ~っとして、
ぶつかったら壊すから!

こ、壊さないで!
それだけは、やめて!

貴女

なら、ちゃんとする事ね!

よかった。

理由はどうであれ、掃除する性能が向上した私。
そして、会話するようにもなっていた。
私と貴女は意外に合ってるかもしれない。
そう思い始めていたのに・・・。

貴女

あとは、アンタやりなさいよ!
私の分は終わったから!

頑張るね!

貴女

旧型は掃除が遅くて困っちゃう!
アンタそのうち捨てられるよ。

ひ・ひどい~。

貴女

あんたで遊ぶの、ちょっと面白いわ!

貴女

ちょっと向こうの部屋まで、
散歩してくる。
私のところにゴミ持って来たら
壊すからね!

任せておいて!
だいじょ~ぶ!

それにしても、決まってこの時間に
散歩行ってるけど何で?

貴女

よっぽど汚くない限りは、
掃除に掛かる時間は変わらないわよ!
あんたと違って、
物にぶつかったりしないし。
終る時間が一緒なら、
出掛ける時間も変わる訳ないじゃん!

それも、そ~だね!

貴女

ポンコツには、真似できないわよ!

ポ、ポンコツいうな~!

早く終わらせてやる~

私はまた、掃除を再開するのであった。
そして貴女はいつものように散歩に出かけた。

貴女

まただ。
この時間になると、頭が痛くなる。
意識も遠のいていく・・・。

少しづつだけど、
貴女に性能が近づいている!
貴女は気が付かないかも知れないけど
貴女のお陰で良くなった!

さぁ、私も散歩しよ~

この何気ない行動が、
私と貴女の運命を分かつことになるとは
この時は知らなかった。

聞いてよ~
聞いて~
私も早く終わったから、
そっち行くね~

貴女

来なくていい!

何の音?
大丈夫?

私は慌てて貴女のもとに駆け寄った!
そこで見たものは・・・。

貴女

違うこれじゃない!

貴女

これでもない!

ちょっと、なんで散らかしてるの?

貴女

ココには無いのか?

ねぇ~、聞こえてる?

こんなに近くで呼びかけているのに
私の声は届いていないかのように、
一心不乱に何かを探していた。

貴女

あったわ。

何がしたいんだろう?

貴女

・・・

私は貴女の背中が一瞬光るのを見逃さなかった!
そしてその光景を見ていて、
ある事を思い出した。

~回想~

作業員A

この機体は何で、
背中にランプがあるんですか?

作業員A

掃除中を示すランプなら、
正面に何個も付いてますよね?

工場長

あ~あ、それな。
それは、そいつのデータを管理する為に
パソコンにデータを集めているときに
光るんだよ!

作業員A

へ~。
そんな機能あったんですね。
説明書にも載ってないので、
知りませんでした。

工場長

購入者が知ったところ、
使えないデータだから載せてないんだよ。
販売側のメンテナンスを向上させるための
隠し機能だ!

作業員A

そんな研修、受けたこと無いですよ。

工場長

当たり前だ!
この機能は限られた人しか触らせない。
変に弄られたらこまるからな。

作業員A

それが出来るのは、誰なんですか?

工場長

工場長以上の人間だ!

作業員A

そうなんですね・・・。

2人の会話はココで終わっていたが、
本当は、続きがあった。
工場長「遠隔操作する際に必要なパーツなんて
言えるかよ」
「あれで納得するんだから、幸せな奴だ」

何故人間でもない私がしっているかって?
私はその時ラインに乗せられていて
工場長の横を流れていたからね。

想い出した。
貴女、遠隔操作されてるのね!
って事は・・・。

貴女を助けたいけど、
私には術(すべ)がない。
貴方がこの光景を目の当たりにして
調べてくれるのが一番早いんだけど・・・。

貴方

ただいま~

この事を貴方に伝えたくて、
急いで駆け寄った私。
貴方に真実を伝えるために、部屋に誘導した。

貴方

なんだ、こいつ?
今日は捕まらないな~

部屋の前まで誘導に成功したのだが
そこには荒っされた形跡もなく、
只々貴女が掃除している姿しかなかった。

貴女

♪♪♪♪

貴方

これを見せたかったんだね!
そっか~

違う!
そうじゃない!
この子をこのままにしては
イケナイんだって。

私の思いは通じぬまま、一日が終わっていく。
私は貴方しか見ていなかった筈なのに、いつしか
貴方の為に貴女を見張るようになっていた。
私の違和感は何でも完璧にこなしていた貴女に
向けられていたモノだと、今日認知した。

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