腕の治療のため医療ラボの前まで来た私はふと足をとめてカイトに問いかけた。

リリアーヌ

あれ、そういえばユウリはいたかしら?

カイト

トイレに行くって言っていたけどな・・医療ラボの隣の所じゃないかな?ちょっと見てくるよ

リリアーヌ

あ・・・ねぇ、あそこに立っているのはユウリじゃない?

カイト

本当だ、あんなところで立ち止まってどうしたんだろう。

ユウリはトイレの奥にある地下へと繋がる階段の前に立ち、じっと中を見つめていた。

カイト

おい、ユウリどうしたんだ?

カイトが軽くユウリの肩を叩くと、ビクッと反応して素早くこちらを振り向いた。

ユウリ

・・・!?な、なんだお前らか・・・驚かすなよ。

カイト

いや、驚かせたつもりはないが・・・

リリアーヌ

何を見ていたの??

気になって中を覗いてみるが、電気が付いていないため真っ暗で何も見えなかった。

ユウリ

いや、それがさ・・・あー、ここじゃマズイかもしれない。あとでみんな揃っている時に話すよ。

リリアーヌ

分かったわ。じゃあ2階の応接室で待ってて。私達も治療が済んだらすぐ行くから。

ユウリ

おう、了解!

走って2階へ行くユウリを見送り、私達も医療ラボへと入った。

リリアーヌ

失礼します。・・・・あれ、誰も居ないみたいね。

カイト

本当だな、まだ広場を調べているのかな。

リリアーヌ

カイト、悪いけど包帯を巻くのを手伝ってもらっていいかしら?

カイト

あぁ、もちろん。任せて。

カイトは近くにあった救急箱から包帯を取り出し、手際良く処置をしてくれた。

リリアーヌ

ありがとう。カルマの魔法のおかげで痛みも引いているしもう平気よ。

カイト

・・・・そ、そっか。良かった。

カルマの名前を出した途端、カイトの表情が曇った。
そういえば先程カルマに治療をしてもらった時もこんな顔をしていたような気がする。

リリアーヌ

ねぇ、どうしたの?

カイト

え、なにが・・?

リリアーヌ

さっきからなんだか変な顔してるけど・・・

カイト

それは・・・。キュアの魔法なら俺にも使えるし、広場に戻る前に俺が治療してあげればよかったなって思って・・・。

リリアーヌ

カイト、やっぱり私の怪我の事気にしていたのね・・。カイトのせいじゃないし、
 あの場ではゆっくり治療している時間も無かった。だからそんな風に思わなくていいのよ?

カイト

あぁ、でも・・・お前の事は俺が守ってやりたいんだ。他の誰かに頼ってほしくない。

私の手をそっと握り、絞り出すような声でカイトは言った。

リリアーヌ

え、あの・・・・それって・・・。

カイト

ごめん、なんか久々に会ったから過保護になっていたよ。・・・・みんなの所に戻ろうか。

困惑し俯いてしまった私を見て、カイトはすぐに手を離し立ちあがった。

カイトが自分のことをどう思っているか。そんなこと今まで考えたこともなかった。
今の言葉もみんなのお兄さんとしての意見なのか、私だけを特別に思っているということなのか・・・

はっきりしてしまったら今のままの関係ではいられなくなる気がして、結局無言のまま応接室へと向かった。

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