沙希を送ったあと、俺は自室に篭り宿題を始めた。

真面目な沙希なら昨日にはすでに終わらせているような範囲だ。

俺は前日になってからしかやらないから、例え今日は宿題をやりたくない気分でもやらないといけない。

明日提出の分を早々と終わらせて、寝る準備までを一息に済ませた。

ベッドの端に座る。

あと半時間。自由な時間だ。

さて何をしよう。

…………

早めに寝ることにする。

俺は電気を消して布団に潜り込む。

カーテンから漏れた窓明かりが天井に繊細な模様を描く。

沙希の部屋の明かりだろう。

まだ起きているのか。勉強でもしているのか。

あいつは真面目なやつだ。本当に。

クラスでの評判も良い。特別に仲のいい友達は少ないけど、当たり障りなく誰とでも接する。

いつだって一生懸命で、賢くて。でもちょっと抜けてて可愛いところもあって。

そんなあいつのことだから電気をつけたまま寝てしまっているのかもしれない。

明日会ったら真っ先にそのことを尋ねてみよう。そしたらきっとあいつは赤面して口を尖らせて。

…………

少し安心してしまった。

そんな自分が嫌になった。

そうだ。

俺と沙希はきっと役割を与えられて、与え合って、満足してるんだ。

役割がないと俺は何を演じたらいいのかもわからず途方に暮れて糸が切れた人形みたいにマリオネット崩れ落ちる照明の消えた舞台裏観客の嘲笑糸を意図をイトヲ

目を強く閉じる。

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