学校から帰ってきた僕は一目散に自分の部屋へ行き、勉強机にカバンを放り投げた。
そのまま部屋のど真ん中に寝そべる。
僕は吉岡先生に図星をさされて苛立っていた。
だが、確かに山根さんのことが気になっていたし、また二人で話がしたいと思ったのも事実だ。
僕は図書室で山根さんと過ごした時間を思い返した。
それは僕らの周りだけ時の流れがゆっくりになるような、とても落ち着いた時間だった。
いつの間にか腹立たしい気持ちは消えて、心が穏やかになっていくのが実感できた。
山根さんとお話がしたい。
でも、声をかけるタイミングが思いつかない。
学校で声をかけるにしても、またアキオ君やホアチャー君に見られる可能性がある。
それはどうしても避けたかった。