マルビス

さて、全員集まった所で本題に入るぞ。

リリアーヌ

えっ、ちょっと待ってください。全員って・・この5人しかいないんですか!?

マルビス

あぁ、つい先日の戦いでほぼ全滅だ。かろうじて生き残った者もいるが、重傷で動ける状態ではない。

ユウリ

マジかよ・・ヤベーじゃん・・・

珍しくユウリが真剣な顔をしている。

マルビス

そうだ、今我々は非常に危険な状態だ。まずは現状集まっているモンスターの情報を公開する。既に戦いで知っているとは思うが、しっかり話を聞いてくれ。

部屋の電気が消され、白いモニターにモンスターの姿が映し出される。

マルビス

まずは‘ヌラ’だ。体はナメクジのような形状で、頭には2本の触角。顔の真ん中にでかい目玉が一つだけ。コイツは体から皮膚を溶かす威力のある液体が染み出ている。接近戦には不向きだな。現にこの液で全身ヤケドを負い死亡した者も出ている。

ティナ

何回見ても気持ち悪いわね、コイツ。

ティナが眉間にシワを寄せて呟いた。

マルビス

まぁコイツは弱いから、アクアバーストの魔法を使えば一撃だ。やっかいなのは大群で来る事だ。囲まれないよう気を付けろ。次はコイツだ。

画面が切り替わり、トンボのような見た目のモンスターが映し出される。

ユウリ

あ、俺コイツと昨日戦ったぜ!動きが速ぇーし飛んでるからウザかった!

マルビス

ユウリの言うとおりだ。これは‘ガンボ’と言って羽根を使って空を飛びまわっている。また巨大な目が顔の真横についていて、ほぼ死角はない。その目から光線を出し攻撃してくる。

カルマ

隊長、‘ほぼ’というのは?どこか死角があるのでしょうか?

マルビス

カルマは鋭いな。実はコイツの死角は顔の真上だ。だが常に空中にいるから死角を狙うのは困難だ。

カイト

では、飛距離に優れているファイアバーストの魔法が一番効果的ですかね?

マルビス

その通りだ。カイトは物分かりが良くて助かる。

ユウリ

なぁ、隊長のアゴヒゲすごくね?

みんなが真剣に隊長の話を聞いている中、ユウリがこっそり話しかけてきた。

隊長は190cmくらいの大柄で、少しごわついている黒い髪をオールバックにしている。

たしかにアゴヒゲはあるけれど、綺麗に整えられているせいか特に気にならない。
おそらく説明に飽きてきたのだろう。

マルビス

ユウリ、懲りない奴だな・・・

先程の言葉が聞こえていたのか、隊長が険しい顔でユウリを睨む。しかしユウリは懲りずにヘラヘラしているだけだ。

マルビス

はぁ、まぁいい。ここからが重要だ。実は新種のモンスターの目撃情報が出ている。

リリアーヌ

え、ほんとですか??一体どんな・・・

マルビス

市民からの情報だが、姿は人間の男と変わりなく、右腕が緑色で怪物のように大きい。
 ヌラが現れた時に一緒にいたようだ。

ユウリ

ちょっ、それヤバくね?進化し過ぎだろ・・・

マルビス

数も不明だし、本当にモンスターなのかも定かではないが・・・もしかしたら今後遭遇する可能性があるかもしれない。無理に戦わずに逃げるのも一つの手だ。十分注意してほしい。

みんな不安そうにお互いの顔を見合う。
本当にそんな人型のモンスターがいたら私たちは勝つことが出来るのだろうか・・・

マルビス

では、ひとまず休憩を入れよう。10分後にここに集まってくれ。今後の行動について対策を練る。

ジリリリリリリリリリリリ・・・・!!!!!!

隊長の言葉が終わったとたん、アヴィス内にサイレンの音が鳴り響いた。

カイト

な、なんだ!?

みんなが動揺する中、隊長は冷静に無線で連絡を取っていた。

マルビス

全員落ち着いて聞け。町の南東でヌラが大量発生している。市民にも被害が出ているようだ。至急現場に向かえ!また市民をアヴィスの地下にあるシェルターに誘導してくれ。何かあればこちらに連絡するように。

リリアーヌ

了解!

やはり嫌な予感は当たってしまったようだ。
私達は急いで現場へと向かって走り出した。

pagetop