首領さんは、にっこりと微笑みながら答える。
ええ、ひよこです
首領さんは、にっこりと微笑みながら答える。
ですが、ただのひよこと思うなかれ。彼はその王冠が示す通り、ひよこの王様。幼き者たちは、たちまち彼にひれ伏すでしょう
秘密結社の神様である、首領さんは、怪人・怪獣を創造するという力を持っている。
流石に世界を破滅させるレベルは創りだせないが、いろいろと個性的な能力を持つ怪人・怪獣を創りだし、社会に役立てたり、秘密結社の運営に使っていたりする。
そして、その中でも無益だったり、影響度が少ない怪人・怪獣を一般人へたまに配っているのだ。
また、変なのを創ったんですね
ええ。本当は、誰でも平伏したくなるオンドリの王を作りたかったのですが、力不足でひよこの王様になってしまったのです
ああ、なるほど
子供限定ですので、影響度は低いですし、王冠を取り上げればだたのしゃべるひよこになるので、ぜひペットに
しゃべる時点でただのひよこじゃないんですが
性格は、王様です
面倒ですね
そうは言わずに。本当は、社会に役立つところで働いてほしいのですが、この子はどうしようもないのですよね
学級崩壊が起こりそうな小学校とかに派遣するとか?
それも考えましたが、彼、王様なのでなかなか言うことを聞いてくれないのですよ
ダメじゃないですか
ええ、困りました
ええい、黙って聞いておったが、貴様ら、朕に対して無礼ではないか!
しゃべりましたね、しかも一人称は朕ですか
王様ですからね
聞いておらぬのか!
聞いてますよー
このように、子供ではない場合は全く効果がないのです
ダメ怪獣、ですね
本鳥の前では言いたくないですが、そうなりますね
ええい、貴様ら、そこの狐娘のように、朕に礼と忠を尽くさぬか!
えっ!?
そこには、道路に正座し、指を前に揃えて地面すれすれに顔を下げている穂波さまの姿があった。
ははー、ひよこ大王様の言うとおりにございまするのじゃ
穂波さま?
おっと、これはいけないですね
首領さんが、ひょい、とひよこの王様の王冠を取り上げる。
はっ、わらわは何をしておったのじゃ?
……やっぱり、お断りしますね
それがよいでしょうね
現在の穂波さまは、子供レベルまで精神構造が退行していることが判明したため、僕はひよこの王様を丁重にお断りした。