エイミ

この掃除機はもう使えませんね。廃棄してしまいましょう。

エイミ

…………

何してるのエイミさん?

エイミ

恵さん。掃除機が壊れてしまいました。

ああ……

今まで、役に立ってくれてありがとね。ご苦労様、しっかり休んで……

ねえエイミさん。道具は、役目を終えたらどこに行くのかな。……その魂は救われるのかな。

エイミ

廃棄物の向かう先はゴミ処理場ですよ。

聞きたい答えじゃありませんね。

エイミ

だって、道具に魂はありませんから。役目を終えてしまえばただのもぬけの殻です。

そんな……道具だからってそんなの嫌だよ……それじゃ、エイミさんも……?

エイミ

エイミも、です。

わかってるけど……やっぱりそんなの寂しいよ。今こうやって話をしたこと、触れ合ったこと、全部消えちゃうの?

エイミ

消えはしません――

エイミ

魂は残らない。そんなものは初めから無いから。

エイミ

でもお互いの過ごした時は。一つはエイミたちのネットワークデータベースに。
もう一つは、恵さんの中に記憶として。必ず残るから。

記憶なんて……忘れちゃうよ。すぐに色あせてぼんやりしちゃうんだ。

エイミ

だから、もう一方をエイミが受け持つんです。必要とあらば10年でも100年でも完璧に記録してみせましょう。

うん……電子記録だもんね。そこは期待してる。 あたしが何か忘れちゃったら、思い出させて。

もしもだよ、エイミさんのことさえ忘れちゃってたら……ひっぱたいてでも、思い出させてね。

エイミ

ひっぱたきますとも。承知しましたよ。今から拳を鍛えるのが楽しみで仕方ありません。

言葉のあや!

21 魂の向かう所:道具にも居場所はありますか

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