本物の城だ。
と、言ってもアプリの中の城なので「本物」と言っていいのかわからないけど。
とにかく迫力がある。
・・・・。
本物の城だ。
と、言ってもアプリの中の城なので「本物」と言っていいのかわからないけど。
とにかく迫力がある。
凛として咲く花の如く
まずはお二人とも湯にでも浸かって身体を癒してから、ゆっくりとお話をしましょう。
私のこともきちんとお話したいですし、お二人のことも詳しく聞かせて頂きたいのです。
そうよね・・・。
私も頭の中を少し整理したいから、ありがたい申し出だわ。
俺はどちらでも構わないから、かぐやさんに合わせるよ。
それでは決まりですね!
侍女に案内させます。
侍女に案内されて私と四季はお風呂の前にいる。
好きなキャラとなぜか私は今、風呂の前にいる。
こんなこと誰が想像できるだろうか・・・。
かぐやさん?
はいっ!?
一緒に入る?
なっ!はぁっ!??え!?
冗談だよ。
またあとでね。
四季は意地悪そうな笑顔で手をヒラヒラさせてお風呂へ行った。
冗談か・・。びっくりした〜。
いやいや!待て私!!
本気でも困るんだけど!
四季には椿というヒロインがっ!!
そうだ、四季にはきちんと相手がいる。
・・・私もお風呂でゆっくりしよう・・・。
少しだけ胸が痛い気がした。
はぁ〜・・・・
お城のお風呂だけあって凄く大きいお風呂の湯に身体を浸かり、今日の出来事を思い出す。
私は確かに自分の部屋で寝てたはず。
四季のハピエン見て、そのまま寝たんだもん。
それは間違いない。
なのに起きたら橋の下にいた・・・。
元の世界に帰るにはどうしたらいいの・・・?
そもそも戻れるの?
戻ったとしても浦島太郎みたいなことになってたらどーしよう・・・。
無事に元の世界に戻ったとしても、とんでもない年月が経っていたらどうしよう・・・。
寝て起きたら自分の部屋に戻れてるなんてこともなさそうだし・・・。
昼間襲われた時に実感した。
死ぬと思った瞬間、これは間違いなく【現実】なんだと。
元の世界に戻れるかわからない状態だけど、こっちの世界に来て良かったことは、大好きな四季とリアルで会えたことだけね・・・。
へぇ・・・。かぐやさんは俺のこと好きだったんだ?
大好きよ!あんなに意地悪なのに実は優しくて、かっこよすぎるとか反・・
あら?
私よっぽど疲れてたのかしら?
四季の声の幻聴・・・?
そくぅ!?
それは良いこと聞いた。
なっ、えっ、どっどどど・・
口をパクパクさせて魚みたいだね。
それともエサが欲しいの?
「大好きな俺」の口づけとか、ね?
四季は意地悪な顔で私の顎を持ち上げる。
私は今お風呂にいて四季もいる・・?
どーゆうこと?
てか・・・
はっ、裸なんですけど!!!
そして近い!!!
私は急いで四季から離れる。
残念。
ど、どーして四季が女風呂にいるの?!
それはこっちの台詞。
どーしてキミは男風呂にいるの?
え?男風呂・・・?
私ちゃんと案内された女風呂に・・・
いや、待てよ。
私考え事してて、確認せずに入ってしまったかも・・・。
わぁー!申し訳ございません!!!
恥ずかしくて急いでお風呂から上がろうと立ち上がる。
ちょっ・・!!
え?
四季に腕を引っ張られて湯船の中で正面から抱きしめられる。
裸ってことわかってる?
・・・それとも俺を煽ってるの?
な、なな・・・!!
ごめんごめん。
少しからかい過ぎた・・・。
そう言いながら四季に強く抱きしめられる。
四季・・・?
とにかく、今キミ裸だから急に立たないでくれる?
す、すみません・・・。
お見苦しいモノをお見せしてしまいまして・・。
大丈夫。湯気であまり見えてないから。
ほ、本当??
うそ。
本当に申し訳ございません・・・。
私先に上がるから、四季少し目を閉じててくれる?
その前に質問。
え?
キミは「私は確かに自分の部屋で寝てたはず。
四季のハピエン見て、そのまま寝たんだもん。
それは間違いない。」って言った。
!!
キミは自分の部屋で「俺」のことを見ることができるの?
私の独り言を聞いていたということは、つまり四季は「私は確かに自分の部屋で寝てたはず。四季のハピエン見て」って言葉を聞いてしまっているということ。
・・・ごめんなさい。
今はまだ何も言えない。
「人間によって作られたのよ」
そんなこと言えるわけない。
だって私と同じく四季には体温もある。
会話だってできる。
私と同じ「人間」で何も変わらない。
そんな四季に「作られた」なんて言えない。
・・・キミは本当に不思議だね。
「仕方ないから今は」許してあげるよ。
四季・・・。
「今」は、ね・・・。
これから俺はキミに酷く残酷なことをお願いしてしまうだろうから・・・。
え?
四季は何か言ってたけど、その言葉は小さくて私は聞こえなかった。
きっと聞き逃してはいけない言葉だったのに。
俺は反対向いてるから、かぐやさんは先に上がって椿さんのとこに行ってて。
う、うん。
じゃあ、あとでね。
そう言って四季は抱きしめていた腕を私から離した。
なくなった温もりが少し寂しいと思ってしまうのは気のせいだ。
着替えて椿のところに行かなきゃ。
侍女に案内された広間には椿がいた。
少しは疲れもとれたでしょうか??
うん、ありがとう。
貴女様の名をお聞きしても宜しいでしょうか?
そっか!まだ言ってなかったね!私は月夜かぐや。
かぐや様ですね。
「様」なんていらないわ。私そんな「様」をつけられるような人徳がある人物じゃないもの。
ですが、かぐや様はご自分を犠牲にしてまで私を助けてくださいました!
私の命を助けてくださったのですよ。
かぐや様がいなければ私は今頃この世にはいないかもしれません。
うーん。
あ、・・・お礼今もらってもいい?
え?
私と友達になって!友達に「様」なんてつけないでしょう?
身分も関係無いしさ。
・・・・。
ってゆうのは駄目かな?
・・・私同性の友達いないので凄く嬉しいです!
良かった!じゃ、今から私と椿は友達ね!もちろん敬語も「様」も無しよ!
ふふっ、かぐやは凄いのね・・・。
え?
考え事してたら遅くなってしまったいだ。
ごめん。
四季!
四季様!
本来ならば四季が椿を助けて、二人は初めて出会い、お城によばれてお礼を受けるイベント。
現状は私が椿を助けて、四季と椿は私を介して先ほど出会ったばかり。
そして私と四季は椿にお城によばれ、今に至る。
私がアプリの世界に来たことで本来のルートとは少し違うように進んで行ってしまっている。
四季様も揃ったところで、改めてお二人とも私を助けてくださって本当にありがとうございます。
城の者もお礼をと言っていたのですが、まずは私が二人に自分から申し上げたく、人払いさせております。
俺は椿さんを助けたわけじゃない。結果的にそうなってしまっただけだから、気にしなくていいよ。
お城の人からのお礼の言葉はいらないし、椿にはもうお礼もらったし、もうこの話はいいんじゃないかな。
お二人とも・・・。
本当にありがとうございます。
椿も無事で私も無事!それでいいのよ。
ふふっ、そうね。
・・・ありがとう、かぐや。
ところで・・・
椿からお礼の言葉を言われ、何かを言いかけたその時。
勢いよく障子が開いた。
椿!
え、縁?
縁君・・・あれ?このタイミング!?
今登場したのは縁(えにし)君。
アプリの中では椿の幼馴染で幼い頃からずっと椿一筋。
嘘がつけなく優しくて正義感も強い、いつも椿を守る。
そんな存在。
でも本来であれば縁君は明日の朝に登場するはず。
なんで今・・・?
・・・。
つづく