山根さんも帰ったことだし、僕も帰るか。
……いやいや、ボウリングだった。
山根さんとの会話が意外にも心地よくて、すっかりメインイベントを忘れていた。
僕は足早に正門を目指した。
しかし、正門付近までたどり着いたとき、僕は大事なことを思い出した。
というより、大事なことを忘れていた。
なんと、ボウリング場がどこにあるのか聞いてなかったのだ。
そもそも僕は学校付近を含めて、町のどこに何があるのかほとんど把握できていない。
確かに場所を聞いていなかった僕にも落ち度はある。
だが、アキオ君は僕の歓迎会だと言っていた。
にも関わらず、僕を待たずに行ってしまった挙句、場所を教えないというのはいかがなものだろう。