いつからだろう。

【違和感】を感じて俺の感情が【不自然】と思い始めたのは。

【なんでもない日々】っていうのはどんなモノだった？

いつまで続くのかわからない日々に疲れてしまった。
そう。

もう疲れたんだ。

俺はもうわからない【何度目かの朝】をまた迎えてる。

これまでに何度あの【路地裏】に行って椿を助けただろう。

まるで助けるのが【使命】だとでもいうように身体が勝手に動いていく。

自然とそんな言葉を呟いていた。

どうしたら【俺の未来】に進めるのだろうか？

いつからだろう

最初に【違和感】を感じたのは。

椿を助けて恋人になった時だろうか？

急に目の前が暗くなって目が覚めたら

【この部屋からまた始まる】

そして俺はまた【路地裏に行って椿を助ける】ことになる。

何度も何度も何度も何度もなんどもナンドモ・・・。

終わりも同じだ。

椿と恋人になった時、急に目の前が暗くなって【また最初の朝】をむかえる。

出会った椿は俺のことを覚えていない。

そして同じ言葉、行動を繰り返す。

・・・俺も。

まるで、誰かに【命令】されてるかのように。

それでも何度か普段と違う行動を起こしたこともあったんだ。

いつもと違う未来になるんじゃないかって、足掻いたことだってある

でもどれも駄目だった。

違う行動をしたって結末は同じだった。

俺には【未来】もなければ【死】もない。

もう抗うことに疲れたんだ。

俺は【俺】がわからない。

【自分の感情】で動いているのか【誰かに命令】されているのか。

椿に惚れたことですら【俺の感情】なのか、わからない。

ずっと【不自然】なんだ。

恋人になれた時も嬉しいわけじゃない。

恋人にならなきゃ【目覚めた世界】が終わらないんだ。

だから俺には【恋人になる】選択しかないだけだ。

凛として咲く花の如く

いつも町中に出ると1つのイベントがある。

町に出た俺は【お姫様が行方不明】という話を聞く。

何度も繰り返してるうちにわかったことだけど、1度町を見てみたかったお姫様が変装して家臣を連れて町を観光してるうちに、どうやらはぐれてしまったらしい。

ただ、今日は町中に来てもその話をきかない。

いつものイベントは起こらないが、変わりに違うイベントが起こった。

店の前で驚いている女がいる。

着ているモノは俺たちとは全然違う。

初めて見た・・・。

女は一人で何かぶつぶつ言っている。

俺は何かがひっかかった。

何度も繰り返している世界なのに、こんなイベントは今まで1度もなかった。

もしかしたら・・・。

もしかしたら彼女は・・・。

そんなことを考えているうちに彼女はどこかに行ってしまった。

彼女に聞きたいことがたくさんある。

まずは彼女を見つけなければいけない。

冷静になるんだ。

焦るな。

本来なら俺は町で噂話を聞き、もう椿を助けに行ってるはずだ。

ただ今回は違う女がいて町中で目立っていた。

・・・ん？

椿！！！

そうだ！あの女も気になるが、まずは椿を助けないと！

俺は何度目かの世界で椿を見捨てたこともあったが、その場合は即【始まりの部屋】に戻ることになった。

せっかく【いつもと違う】イベントが起こったのに【最初から】なんてのはごめんだ。

俺は急いで路地裏に行く。

そこで見た光景は・・・。

先ほどの女が襲われていた。

なんだ？

一体何が起こってるんだ？

この世界は今までの世界とは違うのか？？

いるはずの椿はいない。

変わりに先ほどの女がいて、なぜか襲われている。

俺は気がつけば彼女の前に刀を抜いて飛び出していた。

彼女は俺を知っている。

何度も繰り返した世界なのに俺は彼女を知らない。

人を斬るとこなんてキミは見なくていい。

見る必要もない。

そして俺は男を斬った。

・・・この男を斬ったのは何回目だったかな・・・。

あぁ、もうわかんないや。

彼女の顔は真っ青だった。

もしかしたら、誰かが死ぬ場面に遭遇したのは初めてだったのかもしれない。

俺は彼女に【希望】をもった。

そう思った瞬間少しだけ俺が見てる景色に色がついた気がした。

暗闇に光が差すような感じだ。

何度も繰り返している世界で初めて会った【彼女】に自然と期待してしまう自分がいる。

もしかしたら

もしかしたら【彼女】なら・・・

俺を殺してくれるかもしれない。

つづく