凛として咲く花の如く
・・・。
・・・。
凛として咲く花の如く
私は今あの大好きな【四季】と歩いていた。
これは夢だろうか?
現実だろうか?
でも、先ほどの光景や感覚などからきっとこれは夢じゃない。
チラっと何度か隣を歩く四季を盗み見る。
ぷっ・・・。
!!
言っておくけど、さっきからバレバレだよ?
ぬぉっっ!?
突然すぎて変な声が出てしまった。
はっ、恥ずかしいっ!
・・・。
椿は一緒じゃないの?
あ!椿!!
そうなの!男から逃げてもらったんだけど無事かな・・・。
どこまで走っていったのかわからないし、無事に家臣達と合流できてたらいいのだけど・・・。
キミはどーしてあの時一人でいたの?
んと、とりあえず椿に逃げて欲しかったから無我夢中で・・・。
ふーん。そう・・・。
でも、あの時キミは俺が来なかったら死んでたよ?
そう、よね・・・。
でも私まだこれが現実だって思えなくて・・・。
ゲンジツ・・・ね。
でも四季はなぜ私が椿と一緒だと思ったの?
椿のこと知っているの?
よく考えたら【椿】と【四季】はあの路地裏で初めて出会うはず。
なのに今私の隣にいる【四季】は椿のことを知っていた。
・・・まだ出会っていないはずの【椿】のことを。
それを言うならキミはなぜ俺のことを知っているの?
うっ!
・・・質問を質問で返すのは意地悪だと思う。
アプリと同じく【四季】はどこか意地悪だ。
本当のことを話してもいいのだろうか?
もしこれが現実で、この時代を生きている四季に
「あなたはアプリの中の人間なのよ」
そう告げるはどうなんだろう。
そもそも四季だって人間だ。
理由はどうあれ、今私と会話をして生きている私と変わらない【同じ人間】だ。
【作られた】なんて言ってしまってもいいのだろうか?
言えない?
あ、違うの。ごめんなさい。
まだ私も頭が混乱してて・・・。
実は・・・。
私は四季にはアプリのことをふせて、別の世界から来たことを話した。
寝て起きたら突然この世界にいたこと。
私もまだ混乱していること
別の世界から・・・ね。
信じてもらえなくてもいい。
私も信じられないから・・・。
四季の名前を知っていることに関してはまだ何も言えない。
助けてもらったのにごめんなさい・・・。
いや、今はそれだけわかれば十分だよ。
キミが着ているモノは俺等とは違うし納得もできる。
話してくれてありがとう。
そう言って四季は私に笑いかけてくれた。
ードキっー
!!!
・・・。
私は今きっと顔が赤い。
それはそれはもう真っ赤だろう
だって考えてもみてよ!
大好きなキャラに会えて、会話もできちゃってる。
普通なら考えられない状況なのだ。
そのうえ大好きな人に笑顔を向けられた。
大好きな四季の笑顔。
だめだめ!四季は椿のモノ!椿とハッピーエンドをむかえるんだ!いくら大好きだからって私と四季が結ばれることもなければ、その先もない!!
どんなに【四季】というキャラが好きでも彼には【椿】がいる。
まして彼はゲームのキャラ。
私とどーこうできるわけじゃない。
まず、椿と合流しようか。
キミ探してるんでしょ?
うん!無事かどうかも知りたいし・・・。
四季も一緒に探してくれるの?
そうだね。
キミなんか危ないし、変な奴に絡まれたら大変だしね。
あ、ありがとう。
こうして私と四季は椿を探すために町中をブラブラすることにした。
町中はアプリで見たスチルと同じような光景だった。
何度も見た町並み。
うわー!
本当にアプリとそっくり!
あぷり?
!!!
いやいや!私そんなこと言ってないよ!!
ふーん。
危なかった!
私も言葉には気をつけないと!!
四季は鋭いからな・・・。
そういえばまだキミの名前聞いてなかったね。
歩きながら四季が突然言い出した。
あ!そうだったね!私はかぐや!
月夜(つきよ) かぐや。
つきよ かぐや・・・。
!!
ードキンっー
好きな人に名前を呼ばれるってこんなにドキドキするもんだったかな・・・。
名前呼ばれただけなのに、こんなに嬉しいなんて・・・。
破壊力やばい!!!
俺は自己紹介必要かな?
ニヤリと四季は私を見る。
・・・そーゆう顔も好きだから心臓に悪い。
い、いえ!!
四季のことは知っているので大丈夫です!!!
ふーん。
そう。
突然四季にグイっと腕を掴まれ抱きしめられた。
!!!!!
さっきから顔赤いけど大丈夫?
もしかして・・・男慣れしてないの?
耳元で四季が囁く。
私はもうパニックになっている。
だってあの大好きな四季に抱き寄せられてる!!
なっ!!!な、な・・
その反応。
肯定してるようなもんだよ?
なんちゅーことを!!
そして四季は私を離した。
ごめんごめん。
あまりにもキミがさっきから顔赤くするもんだから、ついからかいたくなって・・・。
もう!
ところで、こっちに走ってきてるの椿じゃないかな?
え?
よく・・よくご無事で!!!
椿!!
先ほどは危ないところを助けて頂き、本当にありがとうございました!!
お怪我はございませんか?
うん、私は大丈夫。四季が助けてくれたから。
椿も無事で本当に良かった・・・。
四季?
え?
え?
四季は椿のことを知っていた。
アプリでは路地裏で初めて椿と四季は出会うはずなのに。
だから椿はまだ四季のことを知らない・・?
でも、だとしたら、なぜ四季は椿を知っているの・・?
何かがおかしい。
さっきは深く考えなかったけど、やっぱり変だ。
私が知っている内容と変わってきてる!
「初めまして。俺は四季。奏 四季(かなで しき)。」
宜しくね。「椿さん」
四季様がこの方を助けてくださったのですね!お二人とも私の命の恩人です!
是非お礼をさせてください!!
お、お礼?
はい!!
そんな!助けるのは当然のことだよ!
お礼なんていらないよ!
当然のこと、ね・・・。
いいえ!それでは私の気がすみません!!
お二人とも是非!!
椿は目を輝かせながら私を説得してくる。
四季は「任せる」という目で私を見ている・・・。
本来アプリの中では、路地裏で椿を助けた四季は椿のお城に連れて行かれて、ごちそうを頂き、その日はお城に泊まるというイベントがある。
もちろん夜には親密になるためのイベントもある。
椿と四季の、だけど・・・。
ここは椿に甘えておいたほうが良いのかな・・・。
正直泊まるとこもない。
それじゃあ、お言葉に甘えようかな。
四季もそれでいいよね?
俺はキミに任せるよ。
そもそも俺はかぐやさんを助けただけで、椿さんを助けたわけじゃない。
え?
椿さんを助けたのはかぐやさんだ。
おれはかぐやさんに任せるよ。
そう・・・。
なぜだろう?
四季の椿に対する態度に違和感を覚える。
まだそんなに親密じゃないからだろうか?
何かだおかしい・・・。
それではお二人とも着いて来てきださい!
こうして私と四季は椿に着いて行くことになった。
つづく