参拝したときにお賽銭して願い事するだろ?

あれ、5円でも100円でも10000円入れて願い事したとしても不毛だよな。

その願い事をしてる間に時間なり、お金なり有意義に使った方がまだ願い事が叶う可能性が上がるよな。

神様なんでありもしないものに縋るより。

なあ、正人(まさと)。そう思わないか?

いや、アラタ君? 君の言ってることはある意味正論かもしれないけどね?

けど?

わざわざそれを大勢の参拝客がいるお賽銭箱の前で言う必要ある!?
周りの視線、恐ろしいくらい冷たくなってるの分かる!?

冷てーのはどう考えても、気温のせいだろ。さっと済ませて、こんなとこ出てメシ食いに行こうぜ

こんなとこ言うなっつの! たく、罰当たりな奴め。今、お願い事するからちょっと待ってろ

そういって藤原正人は一礼し、用意していた5円玉を賽銭箱に入れ、パンパンと手を叩いた。
その後、正人は目をつぶって、手を合わせながら何やら神妙な面持ちで願い事をしている。

なにやら、真剣な佇まいだが小学校からの付き合いのこいつの願いは大体分かる。

神様! 彼女が…………彼女がほしいです……!

と願ってるのがバレバレだっつの。まずはお願い事する前にファッション雑誌を買えよ

やがて、気が済んだのか正人は目を開け、爽やかに向き直った。

やめろ暑苦しい。

ふぅ。終わったぜ。これで今年は俺のものだ

おーよかったな。んじゃ、いこうぜ

あれ? アラタは願い事いいのか?

神様なんているわけねーだろ。本当に大切な願い事は神様だなんてありもしないものに頼むんじゃなくて自分の力で叶えるんだよ

冷めてんなー、アラタ。じゃ、お前の願いって何だよ?

僕の願い?

――――答えなんで既に出ている。

けど……

願いなんてねーよ! ほら、とっと行こうぜ!

あ! おい待てよ、アラター!

そう行って僕は正人を待たずにスタスタと歩き出す。

願い。

そんなもの決まっている。

僕の大切な人。

その大切な人を守れるようになりたい。いや、なるんだ。

神様なんてものにすがることなく。

自分自身の力で。

その願い、聞き届けたぞ。人の子よ

ん?

どした?

正人、今なんかいったか?

いや、なんも

聞き間違いか。

そう思い直して正人とまたスタスタとファミレスで歩く。

ふふ

そして、聞き間違いじゃなかったことを僕はすぐ近い未来で思い知らされることになる。

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