あ~幸せ。この世に、こんな美味しい物があっていいのかしら。

エイミ

恵さんはここのお菓子がお気に入りですね。

あたし、甘みの女王にはひれ伏してもいいわ。

エイミ

恵さんは、他に何が好きなのでしょうか。

え……ほか? そうね、さきイカとか。

エイミ

なんでそこで一気に年齢があがるのですか。

うるさいなあ。人が何を好きだろうが勝手でしょうよ。

エイミ

構いませんが。

エイミ

それにしても、恵さん以前は酸味のあるものが好みだったのでは? 小学生の頃はレモンが好物と。

小学生の時は、エイミさんとお会いしておりませんが。

エイミ

道隆様の資料より学びました。

あんのオヤジー!

まあ、それはいいとして……確かにね。昔はすっぱいの好きだった気がする。

でも気がついたら、そこまで好きでも無くなってたんだ。

好きなものって、結構変わるよね。何でかな。

エイミ

エイミには好きなもの自体もピンと来ませんが――

自分の好きなものすら変わっちゃうんだもの。他の人の、「今」好きなものなんて、全然想像もつかないわ。

食べ物だけの話じゃないけどさ。友達と一緒に、夢中になってハマってたものがあったとして。いつの間にか友達だけその興味が薄れちゃって。

自分だけ本気ではしゃいで……馬鹿みたい。
そんな状況に鉢合わせすると、すごくもどかしい気持ちになるんだ。

それは逆だってあって。あたしだけ昔の熱が持てなくなって、一緒に騒いでてもなんか空虚で。友達騙してるみたいで申し訳なくて。

エイミ

心とは、好みとは、まるでアップデートされ続けるシステムのようですね。いつまでも同じではいられない。環境に晒され、変わり続けるもの。

エイミ

変わってしまった後で、もとの自分に戻るのは簡単なことでは無いのでしょう。……ですが。

エイミ

元の自分も、間違いなく恵さん、あなたなのだから。たとえご友人と好みが変わってしまったとしても、今までを否定する必要はないのでしょう。

好みが変わったとしても、今までは今まで……か。確かにね。いいこと言うじゃない。

エイミさんは? 変わってきてるの? 自分が、過去の自分と違うって感じることはあるの?

エイミ

携帯できるデータ容量にも限りがありますので。過去の不要な情報は、さっさと捨てていますよ。昔のエイミなんて覚えていません。

あれれ~? 結論おかしいなあ~?

18 好物:好きなお菓子は別腹ってか別次元よね

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