そして話しは現在へと戻る。
妹のタマヨリヒメは、海と地上を頻繁に行き来しながら、トヨタマヒメにアエズの成長の様子などを伝えていた。そしてホオリにはトヨタマヒメからの歌を届けてくれた。
そして話しは現在へと戻る。
妹のタマヨリヒメは、海と地上を頻繁に行き来しながら、トヨタマヒメにアエズの成長の様子などを伝えていた。そしてホオリにはトヨタマヒメからの歌を届けてくれた。
ホオリ様、今日も姉様から歌が届いてますよ。『琥珀は通した紐までキラキラ輝くけれど、真珠みたいなあなたの輝きには敵わないわね。』ですって。
ありがと ・ ・ ・ じゃあ、今度帰る時は彼女にこう伝えて。『鴨が羽を休める遠い遠い島で一緒に夜を過ごした君のことが忘れられないよ。きっと僕がこの世に生きてる限り ・ ・ ・ずっと ・ ・ ・ ・ 』
この想いを言葉にするだけで切なくなった。そんな2人の様子を見ていたアエズが不思議そうに質問をする。
・ ・ ・ なんで母上は父上のこと大好きなのにおうちに来てくれないの?
っっ!!
ホオリは思わず息子を抱きしめた。タマヨリヒメが慌ててアエズを叱る。
え ・ ・ ・ えっと ・ ・ ・ ・ ・ ・ ひっ ・ ・ ・ ひどいですアエズさま!!アエズさまはタマヨリじゃ嫌なのですか??
えっ??えーータマヨリがいぃーーー!!
アエズはセンチな父親を放置し、タマヨリヒメに抱きついた。
超かわいい。
アエズね、大きくなったら、タマヨリのことお嫁さんにするの!
ふふっ、そうですか。それじゃあ、今日はお野菜も残さず食べましょうね。タマヨリは身長の高い男性が好きなのです。好き嫌いをしてたら大きくなれませんよ?
えぇーー ・ ・ ・ ぅー ・ ・ がんばる。
今日は、ホオリ様がホデリ様に勝って、この国の王様になられた日なのですっ!!タマヨリが腕によりをかけますねっ!!!
ほんとぉ??うわぁい!!
ホオリは、いつもタマヨリヒメに救われていた。しかし、まだ乳母がそのまま妾になることも珍しくない時代だったが、ホオリが彼女をそんな目で見ることはなかった。それほどトヨタマヒメのことを大切に思っていたのだ。
こうしてタマヨリヒメを通し、遠距離恋愛を続けた2人だったが再び会える日は来なかった。ホオリは寿命が尽きるまで580年もの間、日向の国を治め、歌の通り彼女のことを忘れることはなかった。
一方、息子のアエズは小さい頃から乳母のタマヨリヒメを本気で嫁にする気でいた。
身長が少しでも伸びる度に、彼女の隣でさりげなく身長を比べた。ギリギリ彼女の背を越して求婚した時には、ませガキだと爆笑された。
やがて大人になると、いつの間にか彼女より頭一個分くらい大きくなっていた。
もうこれ以上は伸びないと確信したアエズは、意を決しまた求婚したが、今度も相手にしてもらえなかった。
なんでだよ!食べ物の好き嫌いも無くしたのにっ!!
何をおっしゃっているのですか。アエズ様は元々好き嫌いなんて無いじゃありませんか。
んなわけあるかっ!!根菜も、ネバネバ系も、骨の多い魚だってみんな大っ嫌いだ!!君が言ったんじゃないか、好き嫌いしない身長のデカイ奴が好きだって。
えっ?うそ ・ ・ ・ ・ ・ ・ まさか、あんな子供騙しまだ信じて ・ ・ ・ ・ ・
俺は本気なんだ!いつまでも子供扱いすんなよ!!
なかなか大人として見てもらえず、アエズはつい声を荒げた。タマヨリヒメはいつの間にか自分より大きくなっていたアエズの迫力に押され一歩後ずさる。
・ ・ ・ で ・ ・ ・ ・ ・ ・ でも、アエズ様の周りにはもっと、若くて綺麗な姫がたくさんいるじゃないですか。タマヨリはオバちゃんですっ!!
こんな綺麗なオバちゃんいるかよっ!!俺らは老けないんだ。年の差なんか関係ないだろ。
でも ・ ・ ・ ・ ・ ・ でも ・ ・ ・ なんでタマヨリなのですか ・ ・ ・ タマヨリなんか ・ ・ ・ ・ ・ ・
違う。タマヨリじゃなきゃ嫌なんだ。俺は・・・俺は君がどうやって子供と接するのか誰よりも知ってる。君の子供は絶対に幸せになれる。だから ・ ・ ・
・ ・ ・ ・ ・ ・ だから ・ ・ ・ 俺はタマヨリとの子が欲しいんだ ・ ・ ・ ・ ・ ・
アエズは、勢い余って彼女を抱きしめた。
・ ・ ・ ・ ・
こうして、断る理由が無くなってしまったタマヨリヒメは、腕の中でやっと首を縦に振ってくれた。
長年の片思いが実りアエズは早速、タマヨリヒメを連れてホオリに結婚の報告しに行った。するとホオリはとても喜んでくれた。
てか、産屋っっ!! ・ ・ ・ 産屋作んなきゃ!!!
落ち着け親父。俺らまだ初夜すら迎えてねーから。
父の必死の訴えもあって、アエズが産屋を覗くことはなかった。2人は4人の子供に恵まれ、幸せに暮らした。
『太陽の神』アマテラスの孫ニニギが『山の神』と結ばれ、天と山の力を持ったホオリとアエズが『海の神』と結ばれたことから、天山海の力、全て兼ね備えた子供達だ。この最強属性を持ったアエズとタマヨリの末っ子が、やがて初代 神武天皇となるカムヤマトイワレビコだ。
こうして、彼の誕生によって神話の章は幕を閉じる。
ここまでお疲れ様でした!
やっと一つの節目に着いたって感じですかね?
凄く読み易く且つ勉強になり、キュンキュンするストーリーです!
これからも御身体に気を付けて頑張って下さいね!
天地開闢からここまで本当にお疲れ様でした。
日本書紀・神代紀にある月読の神話(古事記の須佐之男の神話とほぼ同じだけど)や、天皇記の方もとても待ち遠しいです!楽しみにしてます!
次週から、あの男が登場するのですね。
楽しみにしております。
吟鴉さま
最後までお付き合いいただきありがとうございました!
次回は、番外編です!これからもよろしくお願いします(/ω\*)
HANIさま
ありがとうございます!次回はツクヨミさんのお話です。楽しみにしていただければ幸いです( *´艸`)
D2さま
ありがとうございます!次週はツクヨミさんをはさみます(*´ч ` *)
あの男に行くまでは・・・もうちょいかかるもですorz
有規さま
ありがとうございます!これからも頑張りますっヽ(*´∀`)ノ
scoalさま
イラストも褒めていただいて嬉しいです。゚(゚^ω^゚)゚。たくさんのイラストを描いていただいたLeeさまに心から感謝!!
次回のツクヨミさんお楽しみに( *´艸`)