四人がけソファーの上で、つばさが穂波さまを後ろから抱きかかえつつ唸っていた。
むううう
四人がけソファーの上で、つばさが穂波さまを後ろから抱きかかえつつ唸っていた。
まだ納得できない
まだ納得できないかー
だって、お父さんお母さんは書き置きで知ってて、私が知らないなんて納得いかないよう!
その文句は父さんと母さんに言ってくれ―
僕はテーブルの上に置かれたポッキーを一本取り、口に含む。
それに、話もトントン拍子に終わって、しかも来週のお出かけ先も穂波さまの山に花見になったし、心配して大損した気分だよう
理解が早い両親って、いいと思うなー僕は
それは否定しないけど
まあ、つばさに何も言わず行ったことについては謝る。ごめんな
僕はもう一本ポッキーを取り、つばさの口の近くに寄せる。
うん、許した
つばさはそのポッキーを口に含んだ。
わらわはこの状況に納得できんのじゃが
そして穂波さまのターンである。
つばさに抱かれてもふもふされてる
そんなのはわかっておるのじゃ!
私が穂波さまを抱いて幸せに浸ってる
幸せを感じておったのか?!
うん。あーなつかしいなぁ。たろちゃん思い出すー
ああ、確かに。たろうを思い出すなー
たろう、とはうちで飼っていた、一昨年に天寿を全うした柴犬(雌)だ。
つばさは生まれた時から一緒に過ごしていたので、その懐かしさもひとしおだろう。
わらわは神じゃぞ、なぜ、小娘に抱かれなければならんのじゃ!
威張ってるのもかわいー
ぎゃあ! 尻尾、尻尾をギュッとするでない! 手に力を入れるなああ!
はぁ……もふもふ
つばさがヘブン状態に……神様、しばらく我慢してください。こうなったら何もいうことを聞かないので
いやじゃあ、うちに、神域に帰るうう
帰ったら山の神様にどんなことをされるか……
……だ、抱きつかれるぐらいならまあ良しとしようかの
つばさの抱きつきは、山の神様とのキスよりは許容範囲らしいことがわかった。